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12話 最後の部屋 その1

起動音がした方向に、俺は向いた。


そこには、先程まで扉の右端と左端にあった像が動いていた。


その像は、ミノタウロスのような姿形をしており、そのミノタウロスは武装化していた。


全身鎧を纏っており、手には斧が握られていた。


「あーあ、めんどくさっ。戦うの疲れるんだよ。」


「でも、倒さなかったら先に進めないしなぁ。ふぅ。」


俺は一度息を吐き、「俺に敵対したら殺す。そして喰う。いいな。わかったな。来んなよ。めんどいんだから。」


勿論、おれの言葉はミノタウロスには、届いていない。まぁ、もし届いていたとしても、戦わなきゃいけないんだろうな。


「ヴヴォォォォォ。」


ミノタウロスは、雄叫びを上げて、走って来る。


そして、手に持っている斧を振り下げてきた。


その攻撃を危なげなく避け剣を抜き、ミノタウロスを斬った。


ミノタウロスの纏っていた鎧は、簡単に斬ることが出来た。


が、体には傷が付いただけで、浅かった。


「チッ。一撃で仕留められなかった。」


次は二匹のミノタウロスが、同時に斬りかかってきた。


俺はそれを両手に持っている剣で受け止め、弾き、斬り上げ、斬り下げ、クロス斬りなどを使った連撃を繰り出した。


まずは一体殺した。


そして、二体目を殺そうとしたが遅かった。


二体目のミノタウロスは、身体強化魔法をかけ、既に斧を振り下ろしていたのだ。


身体強化魔法をかけていたから、スピードも上がっており反応は出来ても、行動に移せなかった。


俺はなす術なく体を斬り裂かれた。


左肩から右脇腹にかけて斬られた。


斬られている時、肉が斬り裂かれている音が、この部屋に木霊し、俺の体からは血が噴き出した。


このまま、血を流し続ければ数秒で死ぬだろう。


だが、技能スキルの【再生】が発動した。


【再生】は、自分では発動出来ないが、傷を負えば自動的に発動する。


【再生】が間に合えば、死ぬ事は無いだろう。


体が寒くなって来た。


血を流しすぎたせいか。


瞼が勝手に閉じられていく。


俺はそれには抗えず、意識を手放した。



アオバが倒れたその部屋には、ミノタウロス、イムルがいる。


イムルには、アオバがやられた事が信じられなかった。


そして今もミノタウロスは、アオバに向かって斧を振り下ろそうとしている。


イムルは、自問自答する。


ご主人を殺されて一人でここで暮らすのと、可能性は低いがミノタウロスを倒し、またご主人と一緒に冒険するのどっちがいいと。


イムルは即答する。


後者を選ぶと。


だからイムルは、いえ私はここで進化する。


もし出来なかったら、ご主人は死ぬ。


進化出来る条件は満たしている。


レベルもMAXで、私はご主人を愛している。


ここで、愛する人を助けなければ、私は何のためにご主人と契約したのか分からなくなる。


私の体を光が包み出す。


進化が始まったのだ。


スライムが進化しても、99%大きくなるだけ。


だから、私はたった1%の確率で、もう一つの進化を引く。


私の体は今、作り変えらえている。


その事が、とても分かる。


お願いします!


どうか、ご主人を救える力を下さい!


光が少しずつ消え始め、完全に光が消えた時が、体が新しい体に作り変えられた証。


私は自分の体を確認する。


先程より、視界が高いそして足や腕が生えている。


私は確信する。


たった1%を掴み取ったのだと。


私の体は今、素っ裸だ。


だが、今はどうでもいい。


今はご主人を助けるだけ。


私は、歩く。


慣れない体で。


そして、ご主人の近くに落ちてある剣を拾い構える。


今の私には、このミノタウロスには勝てないだろう。


なら、今出来る事を全力でやろう。


今出来る事、それはご主人が目覚めるまでの時間稼ぎ。


「はぁぁぁ。」


私は、斬りかかった。


私には、戦い方が分からない。


ご主人の見よう見まねで、攻撃する。


ご主人なら、こうするだろう。


ご主人なら、ここはこうするだろう。


など、考えながら戦った。


だが、すぐに追い詰められた。


私の後ろには、壁が立ちはだかっている。


もう、ミノタウロスの攻撃を交わす事は出来ない。


これで、時間稼ぎは出来たかなぁ。


褒めてくれるかなぁ。


まだ、死にたくないなぁ。


私の目から涙が溢れだす。


私が死んだ時は、誰でもいいからご主人を守って下さい。


ご主人はいつも無茶をするから。


誰もいないが、懇願する。


ミノタウロスは、斧を振り下ろした。


あぁ、終わったな。


もっと、一緒に居たかったな。


私は目を瞑り、その時を待った。


でも、その時は来なかった。


その代わりに、何かが倒れる音が聞こえて来た。


私は目をおそるおそる開けた。


そこには私が愛している男、ご主人である南条 アオバが立っていた。


「ありがとうな。イムル。お前がいなかったらダメだったわ。」


「あ。」


私の目から、また涙が溢れだす。


「泣くなよ。」


ご主人は、私の頭を撫でて来た。


「だって、ご主人が死んで、もう二度と会えなくなると思ったから。」


私は、途切れ途切れに言った。


「勝手に、殺すな。」


「あぁぁぁぁぁぁぁ。」


私はご主人に抱き着き、ご主人の胸に顔を擦り付けた。


ご主人は何も言わず、そのままでいてくれた。



これは、南条 アオバが目覚めるまでにあった話、そして目覚めた後の話。


「ここは、どこだ。」


俺はミノタウロスに斬られて、それから。


気を失ったのかと繋げようとしたのだが、目の前に広がっている映像が、それをさせなかった。


目の前に広がっている映像は、知らない少女が戦っていたのだ。


ミノタウロスと。


俺は、あの少女を【分析】した。


イムル 妖魔族 亜人・突然変異種 レベル1

主人 アオバ

筋力 1025

防御 1050

敏捷 1000

器用 1100

魔力 1150

魔耐 1125

精神力 1200

技能スキル 物理耐性 念話

加護 使い魔の加護(主人との距離が近ければ近いほど強くなる。主人のステータス×0.5を自分のステータスに+する。主人の技能スキルが使えるようになるが、効果は落ちる。)

称号 恋する乙女


「あいつイムルなのか?…違うだろ。今はそんな事どうでもいいだろ。ミノタウロスに一人で戦っているんだ。それなのに、俺は一体何をしてんだよ。」


俺は自分で意識を覚醒させ、現実に戻る。


血が足りないせいか、体が重い。


俺は、【畜力】を使う。


【畜力】 魔力、攻撃力を体の一部に蓄えることによって、より強力なものに出来る。蓄える時間が長ければ長いほど、威力は高いものとなる。


今、ミノタウロスは斧を振り下ろしている。


俺は右腕に【畜力】を使いながら【神速】を使い、ミノタウロスの前に立つ。


そして、たった3秒の【畜力】でミノタウロスを殴った。


うわっ。


すごっ。


3秒【畜力】して殴っただけで、倒してしまった。


そのことに感心しながら、俺は、ろに振り向いてこう言った。


「ありがとうな。イムル。お前がいなかったらダメだったわ。」と。
















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