プロローグ
初めての作品です。
「うわ〜。やばい、やばい、やばい。遅刻だ〜。」
今日は、徹夜でゲームをしていて、寝坊した。
それで、俺 南条 アオバは、自分の失態でこうなっているにも関わらず母さんに、「どうして、起こしてくれなかったんだよ!」と、言ったのだけど、「起こしたけどね、あんたがまた寝たんでしょうが。」と怒鳴られた。
朝から、怒鳴られたせいか、頭がジンジンする。
俺は、手首に着けてある、腕時計を見た。
現在の時刻、8時38分。
学校のHRが始まる合図の本鈴が鳴る時間は、8時40分。
残り2分の時点で、学校までの距離2km。
間に合うには、1分で1km。
これ、どう考えても不可能だろ。
陸上選手でも、無理なのに、引きこもり寸前の俺が、間に合うわけない。
そこで、疾風の如く俺の横を通過する女性が現れた。
「ん?あの制服俺と同じ学校の生徒か?」
間違いない。
俺と同じ学校の制服だ。
見間違えるわけがない。
「それにしても、さっきの女性の動き、人間離れしすぎだろwww。」
なぜか、笑いが腹の底から込み上がってきた。
遅刻寸前なのに。
もう、そこからの俺は、遅刻するのは確定しているので、歩く事にした。
そこで、気づいた。
俺の失態に。
何で、自転車に乗ってこなかったのだろうと。
現在、8時50分。
HRの真っ最中。
そんな中、堂々と教室に入る。
「おはようございまーす!」
元気に言ったのだが、遅刻している人間が言う挨拶ではないだろう。
「どうして、南条君の方が転校生より、学校に来るのが遅いんですか?また、徹夜ですか?そうですか。はぁ、早く席に座ってください。」
「はーい。」といい加減な態度で返事する。
今頃、転校生か。
今は、6月だ。
転校してくる時期が、遅くも早くもない、中途半端だ。
俺は、チラッと転校生の方を見る。
そこには、人間離れな動きをする女性がいた。
「転校生だったのか。ま、どうでもいいけど。」
俺は、席に着き、右隣の席に座っている、白崎 鈴香さんに話をかけられる。
白崎 鈴香さんは、誰にでも優しく、髪が黒くて、容姿が整っていて、スタイル抜群、そして頭も良い。だけど、ど天然。
そんな白崎さんは、「また、遅刻だよ。徹夜はダメだよ。」と言って来るのだが、はっきり言っていい迷惑だ。
だって、クラスの目というか主に男子の目が怖いもん。
まぁ、こうなるよな。
だって、白崎さんはモテるし、こんなオタクで引きこもり寸前の俺に構ってるんだから。
男子の視線は、何でお前みたいな奴が白崎さんと喋ってるんだよ!と言ってるみたいだった。
「ごめん。これからは、気をつけるから。」と、いつも言ってる言葉で、適当に返した。
「私の名前は、黒崎 サヤ。これからよろしくお願いします。」と、転校生が自己紹介した。
どうやら、転校生の自己紹介はまだだったらしい。
黒崎 サヤさんは、白崎さんの親戚か何かでしょうか?
黒崎さんは、白崎さんとは、正反対の性格をしてそう。
でも、容姿は整っていて、頭も良さそう。
そして、何より白い髪が目立つ。
白崎さんは、黒髪なのに、黒崎さんは白髪だってさ。
名前と髪の色が一致してない。
黒崎さんは、俺の左隣の席になったようだ。
黒と白の美少女が、俺の隣の席に座っている。
これは男子の視線が、今までよりいっそう冷たいものになるな。
はぁ、席替え早くしたいなぁ。
そんなこんなで、HRは終わり、授業もこなし、今は昼休み。
俺は、リュックから10秒チャージを取り出し、1分でチャージする。
「なんか疲れたなぁ〜。」
俺は、眠りにつこうとしたのだが、邪魔された。
ど天然の白崎さんに。
「一緒に、お弁当食べよう。」
「ごめん、もう食った。」と、10秒チャージをひらひらと見せた。
「それだけ?ダメだよ。男の子なんだから。私のをあげるから。」
あぁ、もういい迷惑だ。
「白崎さん、南条は寝足りないみたいだからさ、俺たちと一緒に食べない?」
うぇ、俺の一番嫌いな人間、いや完璧超人。
名前は、神崎 裕太。スタイル良し、頭を良し、運動神経良し、そしてイケメンだ。
もうさ、俺と同じ中学2年生かよと思ってしまうくらいに完璧だ。
不公平だよなぁ。
「私は、南条君と食べようとしているのに、どうして、神崎君と食べなきゃいけないの?」
あぁ、もう早く向こうに行ってよ。
それか、異世界にでも行けよ。
お前らなら、行けるだろ。
お前らというのは、白崎さんと神崎のことだ。
あ、一つ重要なことに気づいた。
苗字に崎ってついてる人は、全員優秀な人間なんじゃないかと。
そう思いながら、席を立とうと、顔を上げると、教室に魔法陣が浮かび上がっていた。
まぁ、もちろん魔法陣に書かれてる文字なんて読めるわけがない。
クラスの人たちは焦り、教室から出ようとしたのだが、ドアが開かなかった。
そして、机や椅子などは、そのままなのに、人間だけが消えた。
この事件は、神隠しと扱われ、誰もこの事件について、触れようともしなかった。
居なくなった人の家族さえも。
「ようこそ、剣と魔法の世界へ。」
と、このような音声が頭に響いた。