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一幕四場

 そう、そうだった。確か三年前。俺は、ボロボロだった。


 ギリギリFランクじゃ無い大学生だった。所謂キャンパスライフ(死語?)を謳歌していた俺にも、就活の季節がやって来た。


 あっさり(つまず)いた。

 ぺらっペラの封筒に、お祈り文が一枚きり。それが、何枚も何枚も堆積して行く。

 お祈りの紙一枚毎に、自己肯定感が擦り切れて行く。

 皆同じ思いをしているんだろうと想像はつくけど、俺は結局耐えきれなかった。


 就活先のランクを落として、都市圏から地元や地方都市まで範囲を広げた。

 けど、ダメだった。


 そして、俺はダメな人間だと烙印を押され続け。不要だと伝えられ続け。

 ダメ人間になったのだ。


 大学からも、足が遠のいた。

 三年の後期で単位を一つ落とすと、後は雪崩式だったね。

 ゼミもサークルも顔を出しづらくなり、卒論のテーマも決まらないまま……。


 大学生の俺は、死んだ。


 それからの俺は、引き篭もりだ。

 以前先輩から勧められていたアニメを見た。泣いた。

 シリーズの前作も、全て見た。そんでもって、同じ監督の作品も全部見た。監督になる以前の作品まで見た。

 人生は、悲喜交々だ。


 暫くすると、ある問題が浮き上がってくる。そう、答えは単純だ。


 金が無い。


 就活を機に、ネカフェのバイトは辞めてしまったし、大学除籍と同時に仕送りを絶たれてしまった俺には、どうしようも無く金が無かった。


 仕方がなく俺は、母方の祖母に頼る事にした。

 記憶を頼りながら俺は端末から、電話をしてみた。そしたらやっぱり"ばあちゃん"が電話に出たんだ。

 涙声になったね。

 "ばあちゃん"は『何があったのか』って、親身に聞いてくれて……。思うままに喋ったさ。

 顛末を話して落ち着いた俺は、ばあちゃんのアレが久しぶりに食いたいだの、コレが足りないだのと捲し立てた。金も無心した。恥も外聞も無かった、と、思う。ばあちゃんはうんうんと、ただただ聞いてくれた。


 それから暫くは、ばあちゃんの話す近況を聞いてたっけ。

 俺の知ってる田舎道に、コンビニが出来たらしいとか。コーヒースタンドが出店して、すぐに潰れたらしいとか。あとは、ジャス子がイオン化したんだとか。O3(オゾン)臭いのか、抹香臭いのか? 色んな話をして、そしてーー。


 そして、忘れもしない。

 端末の表示は、通話開始から36分と29秒……。


「ん?……あぁうんうん、そう。……あれ?そうだっけ?」


 驚愕の事実が、発覚する!


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