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一幕二場

 衰えた"ばあちゃん"が、手ずから括ったビニール紐は緩々(ゆるゆる)で、カッターで切る度に寂寥感に襲われる。

 その癖、ダンボールには伝票を貼る隙も無い程にガムテだらけで、すぐにイラッとくるのだ。


 ずっしりと重い。

 兎に角『栄養たっぷり』が喜ばれた世代だからな、だいたい米だろう。缶詰なら大当りだ。

 俺は容赦無くカッターを使って開封。


 をっ、出た。

 共通項①:読みにくい手紙だ。

 あちゃぁ、お爺さん入院しちゃったんだ。良く聞く話だね。はいっ、風邪ひいてません。ご飯もちゃんと食べてますよー。……雪花マークのバター券が入ってる。マーガリンでもいいのに。なんでバター?


 そして同封の……キターーーッ!

 共通項②:御守り& お 小 遣 い !!

 うはっ、ユキチ三人! ご案内〜! "ばあちゃん"奮発し過ぎだろぅよ、なぁ。

 御守り……は、『安産祈願』って、どんな設定だよオイっ!? 確かに痩せ型だけど、俺に出産の予定なんて無ぇわっ!


 そしてぇ……。腐らないモノは有難いね、乾燥椎茸に。やっぱり入ってたよ。ばあちゃん大好き! かっぱえぴせん(笑)、赤い袋が眩しいぜ。祖母学的には、かっぱえぴせんは外せ無いよね。


 ん? このタッパーは何だ?


「うわぁぁぁッ!?」


 思わず声を上げてしまった……。バッタ? バッタがなんでタッパーに入ってんだ?! しかも、黒くて、照りっと。

 ……まぁ、随分()けが進んでんだろうなぁ。


 ローテーブルから三級タバコを取り出して、火を付ける。


 ……ふぅ。


 気をとりなおして、次だッ!

 次は……おっ? 缶詰! と、新聞包みか……。

 共通項③:謎の郷土料理が無いのは、チョットだけ残念だな。

 うっは! 缶詰いっぱーい。大当りだな! どれどれ……。

 茹で小豆、茹で小豆、茹で小豆、茹で小豆、茹で小豆、茹で小豆。

 あんこ、あんこ、あんこ、あんこ、あんこ、あんこ。


 ……。


 糖度高ェェェーーーッ!

 祖母ォォォーーーッ!!

 どんだけあんこ食うんだ? どんだけ小豆食わせたいんだよ"ばあちゃん"!?


 はぁっ……はぁっ……。

 ふぅ。落ち着いていけよ、俺。

 今までも散々驚かされてきたじゃないか、動揺しすぎだろう?


 さ、次こそ、だ。


 いよいよラストは、新聞包みか……。コイツが、祖母と孫の共通の"アレ"に違い無い……。


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