表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
結構可愛いんだけど殺人鬼なのが玉にキズ  作者: 牛髑髏タウン
第二章 「殺人鬼の世界にようこそ」
9/80

第二章 1/8

「申し訳ないんだけど……殺人鬼の募集は一件も無いわねえ」



 紹介所のお姉さんの言葉にティルミアが肩を落とした。


「わかってはいたけど、やっぱり殺人鬼って人気ないんだなぁ……」


「ティルミア、現実を見ろ。積極的に殺人鬼と旅をしたいなんて人間はいないのだよ」


「むっかぁ……。わかってはいたってば……」


 今の俺達に必要なものは、3つあった。


 目的地、準備、それに仲間だ。

 つまり旅をするにおいて必要なものが何も揃っていなかったということだが。


 まず、目的地。これはとりあえず隣の街に行ってみようというところに落ち着いた。俺はできれば街の外に出たくないというタイプの人間だが、隣の街には市井の蘇生師がいるらしいというので気になった。


 次に、旅の準備。主に、装備だ。俺はこの世界で目が覚めた時に着ていた動きやすいだけの半袖のシャツだし、ティルミアもヒラヒラしたスカートでは荒野を冒険するには不向きだ。幸いホテルの騒動で貰った金で服以外にも食料やなんやかんや買い込めた。武器や防具も必要じゃないかと思ったが、ティルミアは必要無いと言い、俺は俺で鎧やら盾やら持ってみても重くて動けなくなるだけだったので結局丈夫な布地の服を着るだけにとどまった。

 装備以外に、俺は真面目にも蘇生師としての準備をした。まあさすがに教会でないと成功しないというのでは旅に出ても何もできないからだ。代わりになる方法をサフィーに協力してもらって習得した。


 あわせて、遺体の修復魔法も覚えた。なにせ老衰で死ぬのでもなければ普通は死体は無傷ではない。生き返ったそばから腹に穴が空いているのでまた絶命します、では話にならない。……といっても収得できたのはまたしても初歩的なところの丸暗記までで、腕輪の力をフル活用した上で、死後経過時間が数時間程度でないと効かず、損壊部位が多すぎてもダメという不便なものだが、付け焼き刃ではそれが限界だった。回復魔法ではないので生きている人間にも使えない(まあ蘇生師という職である以上それはどうやっても無理らしいが)。付け焼き刃と言っても二日ほどかかった。


 三つ目が、仲間だ。ティルミアは二人でもいいと言ったが、俺はできればもう2,3人を加えてパーティを組みたかった。正直なところ、魔物対策でなくティルミア対策だ。俺一人じゃ止められないしツッコみも追いつかない。さすがにもう殺される心配は(少なくとも故意には)ないだろうと思っているが。

 それに、蘇生しかできない蘇生師と、殺すしかできない殺人鬼である。両極端しかいないパーティというのもさすがにどうかと思う。

 この世界でパーティを組むのにはどうするかというと、神殿に紹介所というのがちゃんとあった。俺らのように旅の同行者を探す者もいれば、行商人などが護衛を探したりもするし、旅に出るんでなくても商売の協力者を探す者もいる。どういう職の人間が必要か伝えておくと、それにあった人間が来たら連絡してくれたりもするらしい。ジョブマッチングサービスということだろう。


「あとは……職業不問で募集をかけてるのがあるけど……」


「不問? 何のライセンスでもいいってことですか?」


 ティルミアが食いついた。


「そうね……。ライセンスに関して要望が無いってことは能力は問わないんでしょうね」


 お姉さん的にはあまり乗り気ではないのかそれほど興味なさそうに答えた。


「どんな内容なんですか?」


「えっとね……。「私たちと一緒に冒険の旅に出ませんか? ライセンス不問、年齢不問。未経験者歓迎。ベテラン冒険者が丁寧に指導します。魔術や格闘術の能力は問いません。やる気のある若者求む。笑顔あふれるアットホームなパーティで楽しく成長できます。少数精鋭。完全実力主義。実績次第では幹部候補に。将来は独立も可能です。衣食住つき。高額の報酬あり。ノルマなし」」


 わあ。


「わあ! スゴい! なんか好待遇!」


 俺はティルミアの肩をがしっとつかむ。


「おい、やめとけ」


「え、なんで?」


「ブラッ……こき使われる匂いしかしない」


「えー、そうかなぁ」


「よくもまあ……こんなてんこ盛りにしたもんだ。どこまで本当かわからん。なんで冒険の旅に衣食住がついてるんだ」


「きっと装備とかご飯とか支給してくれるんだよ」


「「衣」と「食」は百歩譲ってあったとしても「住」はおかしいだろ。……それに幹部ってなんだ。パーティの幹部か? 少数精鋭のパーティの幹部っていったい何だ」


「……うーん、私はよく知らないけどベテランの冒険者パーティにはそういうシステムがあるんじゃないかな」


「あるか阿呆。少数精鋭ってのは人手不足を誤魔化す時に使う言葉なんだよ」


「もー。タケマサくんってば疑いすぎ。ライセンス不問未経験者歓迎なんて募集、まず無いんだよ? 今の私たちに選ぶ権利なんてないんだから」


 ティルミアは、これにします、と紹介所のお姉さんからその紙を受け取った。


「ちょっと、いいの? これ、紹介する私が言うのもなんだけど、だいぶうさんくさいわよ」


「大丈夫です!」


 大丈夫じゃねえ。俺は全力で首を横に振る。


「だって、ちょうどいいじゃない。私たち、目的地だって決まってなかったんだし」


「だがこの内容じゃいったい何をしにどこへ行くのかさっぱりわからんぞ」


「……行って聞けばいいじゃない。えっと……希望者はここに来てください、……街の外だね」


「集合場所が……街の外? あの街を囲っている城壁の外ってことか?」


「うん、地図がある。……そんなに遠くはないけど、二、三十分歩くかも。目印になる木があるからそこまで来てくださいって」


「おいおい、外って、前に言ってた……魔物ってやつがいるんじゃないのか」


「そりゃいるよ。冒険に出るにしてもよその街に行くにしても、魔物との戦闘は避けられないでしょ」


「……まぁ、そうだろうが……。なんでそんなところで待ち合わせをするんだ。絶対怪しい」


「そこに来られるくらいの最低限の戦闘能力はあることが条件ってことじゃない? 大丈夫だって。まあ、行ってみよ! 騙されたと思って」


 *


「はっはっはー! 騙されたな!!」


「まさか騙されるなんて……」


「……」


 城門を出て見晴らしのいい草原の真ん中の一本道をてくてくと歩いてきたところ、その目印の木は簡単に見つかった。だが俺とティルミアが近づいたところで、いきなり五人の男に周りを取り囲まれたのだった。

 口に手を当てて驚くティルミア。


「騙されることはむしろ予想通りだが……この方向は予想外だったな」


 待っていたのは見るからに荒くれ者な感じの男たち。犯罪のにおいしかしない。


「へっへっへぇ! 引っかかったなぁ! あの募集は嘘だぜぇ!」


 それはわかってたんだけどさ。


「それにしてもどこにいたんだ、こいつら」


 付近の岩やら草むらやらに潜んでいたのか。俺たちが近づいてくるのを見て出てきたらしい。


「金目のものは全部置いていけぇ!!」


 盗賊、みたいなやつだろう。あのバカな求人広告を囮に、おびき出された冒険者希望者をカモにしているということらしい。


「けっけっけ。あんな好条件の冒険者募集があるわけないだろうが。お前ら本当に世間知らずだな」


「言っておくが異世界初心者の俺でさえ知っていた世間をこのアホが知らなかっただけだ」


「あ、ひどーいタケマサくん! 私だって途中でちょっとだけ不思議だなって思ったもん」


「……どこにだ」


「年齢不問なのに若者求むって書いてあったところ」


 意外に細かいところを見ているな。


「がっはっはぁ! まんまと騙されたようだなぁ! 俺たちは泣く子も黙るボギー盗賊団だ! お前らのようなライセンスも取れていない素人冒険者どもを騙しておびき出して金目のものを奪うことを主なミッションとしている!」


「……ミッションとしているのか」


 そんな言葉どこから覚えてきたこの異世界人。


「悪いがお前ら、今月の強奪金額ノルマ達成のために犠牲になってもらうぞ!」


 ……ノルマ無いんじゃなかったのか。


「えっと、悪いけど、お金を払うわけにはいかないよ!」


 ティルミアは強気だ。

 だがその言葉に男たちは冷笑を浴びせる。脇にいた一人の若い男がずいと前に出てきた。


「チームリーダー! ここは俺にやらせてくだせぇ!」


「バカ野郎! 俺のことはお頭と呼べと言っただろうが」


 ボギー盗賊団とやらのチームリーダー? らしき男は横から口を出した若い男に怒鳴ると、やってみろ、と場所を譲った。


「へへっ。俺の初仕事だ!」


「おう。へますんなよ。若手指導担当の俺の評価に響くんだからな」


「わかってやす!」


 指導? 評価?

 …………会社?

 よくわからないが、こいつらの求人広告、わりと間違ってなかったのかもしれない、と俺は思った。


「へっへっへぇ……覚悟しろ! でぇえい!」


 って……うぉ、俺のほうに来るのかよ!

 てっきりティルミアに攻撃するのかと思った俺は虚をつかれる。

 慌てて避けようと思うが全く身体が追いつかない。男の振りかぶったナイフをまともに受けてしまう…………と思った瞬間。


「ぐはぁ!」


 ざしゅ。

 突然地面から生えてきた謎の黒い尖ったものに串刺しにされる男。


「え……え!?」


 男は足と胸をその串に貫かれ、モズの早贄のようになってピクピクと痙攣していた。


「え……?」


 盗賊団も何が起こったかわからない、という顔をした。俺もだ。ただ一人ティルミアだけがにやりと笑っていた。


「へっへーん。どう? 念のため、タケマサくんに殺意を持って近づくと自動で発動するように魔法をかけておいたんだよ。えっへん!」


 なんだと……。いつの間に。


「どう? 凄い? タケマサくん!」


「いや凄いけど……」


 正直、ちょっと引いてる。

 黒い槍に貫かれた若手盗賊は、先輩盗賊達に何か言いたげに腕を伸ばしたが、途中で糸が切れたように力が抜けた。


「……ゴ、ゴメス……!? バカ野郎、お前油断しやがって!!」


 いきり立つ盗賊団。


「こ、こいつら! や、やっちまえぇええ!」


 その後の戦いはあまりに一瞬で終わったために俺もよく覚えていないが、最終的には胸を貫かれた死体が五体できあがってしまった。地獄絵図だ。


 *


「なあ、ティルミア……俺に何の魔法をかけたんだ?」


 五本の黒い槍が地面に引っ込んだので盗賊たちを地面に並べながら俺はティルミアに尋ねる。いつの間にか人の死体に慣れ始めている自分が怖い。


赤柱陣バースデー・ケーキって言うの。防御魔法の一種。対象者に至近距離まで近づくと地面から飛び出した鉄の串が貫くの。少しアレンジして、殺意を持って近づいた人間だけを攻撃するようにしてあるから、街を歩いたりしても大丈夫だよ」


「ば……ばーすでーけーき?」


「うん、赤柱陣(バースデー・ケーキ)


 なんとなくファンシーなネーミングだが、これはティルミアが勝手な名前をつけているだけな気がする。


「いつの間にそんなものを」


「昨日の夜」


「あ、あれか」


 昨日の夜。ティルミアが部屋をノックしてきたので出てみたら(最初のホテルを出た後、もう少しランクの低い宿に移った。ちゃんと部屋も別だ)、「よく眠れるおまじないをしてあげる」と言ってきた。一体何をわけのわからんことを言っているんだと思ったが眠かったので言われるままに目を閉じていたがあの隙にそんな恐ろしい魔法をかけられていたとは……。


「タケマサくんが蘇生魔法の勉強してる間暇だったから、開発してたんだ」


「これ……防御魔法って言ったか? どう考えても攻撃魔法じゃないか」


「攻撃は最大の防御、だよ」


「防御っていうか罠だろこれはもはや……」


「まあ確かに、暗殺とかに使われることも多いかも」


「もうちょっと穏便な魔法は無いのか?」


「え、でもこれ殺人鬼が使える魔法としてはかなり穏便なほうだよ?」


 なるほど、サフィーの言う通り、殺人鬼ライセンスは廃止したほうが世のためな気がする。

 さて、と俺は転がっている盗賊たちを見る。


「とりあえず、この人らを全員縄で縛るから手伝ってくれ。幸い縄は自分たちで持ってきてるぞこの人たち」


「私を縛り上げてさらうつもりだったのかもね」


 ほら、私可愛い女の子だし、と冗談っぽく言うティルミア。


「そうなったら災難だったな」


 言うまでもなく災難なのは盗賊たちのほうだが。


「でもタケマサくん、縛ってどうするの? もうみんな死んでるよ」


 知ってるさ、と俺は腕まくりをする。


「俺を誰だと思ってる。天才蘇生師タケマサだぞ」


「えぇ!? 生き返らせる気?」


「そうだよ。言っただろ。お前の思い通りにはさせんと。……五人か。一人一時間かかるとして……五時間」


「日が暮れちゃうよ」


「だが時間が経てば生き返らせられなくなるからな。……さっそく覚えたばかりの遺体修復魔法をやってみよう」


 *


「はぁ、はぁ。く……暮れなかったぞ」


 太陽は沈んではいなかった。ただ、だいぶ傾いてはきている。午後三時くらいだろうか。どっちにしろ今日が一日終わってしまった。


「もう、もう……しゃべれん。喉が枯れた」


 立て続けに五回もやると、もはや呪文の唱えすぎで舌が筋肉痛だ。


「しかし……これは予想外に酷いことになった」


 そう、酷いことになっていた。


「あーん、脱げちゃった僕のくつー」


「うるせーやい。やーい泣き虫ー」


「うわーん」


「だーだー」


「……むにゃむにゃ」


 ……違う意味での地獄絵図だった。やかましく騒いでいる縄で縛られた五人の男たち。


「うーむ。何がいけなかったんだろうな……。遺体修復はうまく行ったよな。蘇生のほうの失敗か。やはり野外でやったのが初めてだったからか。ガルフの時より死んでからの時間は経ってないんだが……、蘇生魔法はデリケートってのは本当だな」


 教会という場所では精霊達が非常に落ち着いた状態にあるとサフィーは言っていた。だからガルフの時はそこを選んだわけだが。

 精霊というのは大気のようにそこかしこに満ちているものらしいので基本的に魔法はどこでも使えるが、場所により、気温により、時間帯そのほか環境によってその性質が変わってくる。特にこんな野外で魔法を使う場合は、呪文詠唱中に精霊との接続を維持し続けるだけでもかなり大変、らしい。すぐ発動できるものならいいが、蘇生魔法のような時間のかかるものではこれが致命的になる。

 そりゃ熟練の魔導師なら臨機応変に呪文を組み替えてくんだろうが、今の俺にはそんな技術はない。少しずつサフィーに借りた呪文書を読んでいるうちに古代言語の基礎は少しだけわかってきた気もするが、まだまだ丸暗記したものを唱えるしかできない。

 そこでサフィーに協力してもらって身につけたとりあえずの解決策が、今この地面に描いてある魔法陣だ。これで教会と同じような安定した精霊場を作る。木の枝でも何でも地面に図形が描ければ使えるので野外で行うには良い方法だ。半径五メートルほどもある巨大な図形になるのでかなり広い場所で柔らかい地面が無いと使えない(あと、雨が降ってる時にも使えない)のだが、これを苦労して描きあげることでどうにか俺でも蘇生魔法を発動できる。

 ……というのが理屈だが、やってみるとそううまくはいかなかったらしい。


「魔法陣は失敗してないよな……。やっぱり呪文のほうを間違えているのか……。くそっ……。未熟だな俺は」


 ガルフの時と同じように盗賊達も、程度の差はあれど記憶が子供の頃までしか戻らなかったようだ。

 泣く子も黙るボギー盗賊団は今、縄でつながって「電車ごっこだー! わーい!」と楽しそうに遊んでいる。


「おい、ティルミア、起きろ。済んだぞ」


 ティルミアは寝ていた。一人目が終わったあたりで飽きたらしい。まあ確かに絵面的に派手なものでもないし、見てて面白いもんでもない。

 俺はたたき起こ……。


「むにゃ」


 ……。


「ティルミア……人の首にナイフを突きつけながら寝ぼけるのはやめろ」


「……んにゃ。あれ、タケマサくん」


 一瞬で汗が吹出した。そういえばこいつ……寝てても反撃できるとか言ってたな。


「あ、ごめんタケマサくん。……気にしないで。これは単なる条件反射だから」


「この眠り殺人鬼め。おい、終わったぞ。五人とも蘇生した」


「うまくいったの?」


「……ある意味イエス、ある意味ノーだ」


 ティルミアは縄でつながったままケンケンをして遊んでいる泣く子だらけのボギーお遊戯団を見た。


「……なるほど」


「暑くて疲れてたのもあって、だいぶ詠唱を失敗したかもしれん」


「そんなことないよ。うまくいってるよ。タケマサくんの幼児化魔法」


「違う。俺は蘇生魔法を使ったんだ」


 確かに、これまで7回使ってそのうち6人が幼児化したことを考えると、ティルミアのほうが正しいかもしれんが……。


「日は暮れてないが、だいぶ傾いてしまった。とりあえず街に戻ろう」


「うん、わかった」


「しかし、外で野盗に襲われるたびにこれをやっているといつまでたっても目的地につかんな」


「野盗に襲われるってのはそんなに多くないよ。基本的に盗みを働く人が多いのは街。だって魔物はびこる外の世界じゃ人間だって警戒してるもの。金目のものも持ち歩かないし」


「なるほどそりゃそうか」


「例外的に多いのは山間部かな。通れる道が限られてて迂回路が無いところは、旅人目当てで狙う人たちもいるの。私もこの街に来る途中の道中では結構稼がせて貰ったんだよ」


 俺は驚いてティルミアを見る。


「お前……そんなことしてたのか。見損なったぞ」


「ち……違う、違うよ。旅人目当ての山賊がいっぱい襲ってくるから、返り討ちにするついでにお金もちょっとばかり失敬しただけだもん」


「一般人は襲ってないと」


「お金目当ての殺しなんてしないもん!」


「何目当てでもやめろ」


「違うんだからね? ほんとに、たまたま殺した山賊さんがお金いっぱい持ってただけなんだから」


 たまたま殺さないでくれ。


「……ティルミア、お前反撃するにしても、もうちょい穏便な方法は無いのか。眠らせるとか」


「眠らせる魔法? ……うーん……眠らせる魔法かぁ……」


「言っておくが永眠はダメだぞ」


「あ、じゃあないかも」


 ええい。これだから殺人鬼は。


「ところでどうするの? この子たち」


 ティルミアが言う。……そう言われると、俺は頭を抱えるしかなかった。

 五人の盗賊たち。

 全員頭は五歳以下。


「育てる?」


「育てるか、アホ。とにかく街につれていくしかない」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ