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安平脱出!目指すは即墨!

◎斉 安平 田単


 この前、荀可さまの前で、楽毅が来たらヤバい的なことを言って以来、本当に楽毅が来ても来なくてもまずいと思って胃が痛い日々を送っていたが、どうやら楽毅将軍っていうのは本当にすごいらしい。


 戦がうまい名将っていうのは聞いたことはあったが、ここまでとはねえ。

 莒に逃げ込んだ湣王を討つために燕の軍はさらに進軍しているみたいなんだが、各地に残る斉軍は手も足も出ずに、次々と都市を落とされているらしい。


 そもそも、すでに斉の主力が討たれて、名のある将軍もほとんど残っていないので各地に残る守備兵では全く歯がたたないようだ。


 こんなんじゃあ本当に斉が滅んでしまいそうだし、何より、この安平にまで攻め込んできそうじゃないか。


 なんでも、あまりにも燕と楽毅が強すぎるので、最近では、「楽毅来る」という報せが届いた時点で城門を開けて降伏する都市まで出てきてしまっている。


 こりゃあ本当に逃げないといけないことになりそうだなあ



「旦那さま、楽毅将軍が攻めてきているようですが、ここは大丈夫なのでしょうか」


 妻も含めて、ほとんどの人間が、斉は大国だし、燕は小国だから、さすがにここまで攻めてくることはないと安心しきっていた人々も、最近はみんな不安そうだ。


 特に、この前楽毅の恐ろしさを教えた、家の奉公人や張余、荀可さまは顔色がものすごい悪い。まあ俺の顔をそんな感じだとは思うが


「大丈夫だとは思うよ。でもまた逃げる準備はしておいた方がいいかもしれないな」


 また逃げるという事を聞き、妻がさらに顔を青くする。


 そりゃあそうだよなあ、ほんの最近まで、斉は秦とならぶ強国で、日々平穏に暮らしてきたんだからな。

 しかし、斉に生まれて30年近くたち、暮らしてきたからこそ分かるが、ここまで斉を追い詰めている楽毅将軍っていうのは本当にすごいな。

 正直、孔明なんかよりもすごいんじゃないだろうか。

 なんでこんな人が、未来の世で知名度ないのか不思議だ。






◎斉 燕軍陣中


 燕軍は追撃の手を緩めることなく、湣王の首目指して進軍を続けていた。

 そして、遂には田単らの籠る安平近くにまで押し寄せてきていた。


「将軍、これより先の安平から、守備兵らが、討って出てまいりました」

「ほう、降伏する都市が増えてきた中で、討って出てくるとは、なかなか骨のあるものたちだな。油断することなく叩き潰せ」

「はっ」


 燕の軍勢は楽毅の指揮のもと、安平から出てきた斉の軍に襲い掛かった。





◎斉 安平 田単


 さていよいよ楽毅が、安平にまでやってきてしまった。

 安平を治める領主は降伏を潔しとしないようで、守備兵を引き連れて、楽毅に戦を挑んでいった。


 おそらくは勝てないと思うので、俺は今のうちに、いつでも逃げられるようにスタンバっている。

 馬車に補強はしっかりしたし、荷物等もすでに積み込んで準備万端だ。

 いくら臆病者とののしられようとも、命あっての物種だからな。


 最悪、財産は失っても自分と家族の命さえ無事で奴隷にさえならなければ、いい。

 まあ、斉が完全に滅んで逃げる場所もなくなってしまったら本当にヤバいと思うが。


「田単、次はどこに逃げるつもりじゃ」

「父上、次は、即墨に逃げようかと思っています」

「そうか」


 近くに逃げ込んでもまた攻められたら、意味がないからな。

 それにおそらく楽毅率いる本軍は湣王のいる莒を目指しているだろうから、即墨なら、楽毅の通り道からは外れるから、落ち着けるだろう。


「田単、守備兵が楽毅に敗れたそうだ、逃げるぞ!」

「わかった。」


 張余が報せを持ってくる。

 どうやら予想通り、守備兵は敗れたようだ。

 俺たちはすぐに、裏門目指して馬車を走らせる。


 さすがに、この情勢なので俺ら以外にもすぐに逃げる準備している奴らはいるようだ。

 とはいえ馬車まで補強しているのはいないなあ。


 やっぱ馬車まで補強したのはやりすぎだったのかなあ。


 とはいえ、今はそんなこと言っている場合ではない。

 ここからは一路即墨目指して走り続けるのみ!


「馬がつぶれてもいい、ひたすら走らせろ。目指すは即墨だ」

「へい」


 あとは道中の無事を神様に祈るだけだ。


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