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馬車を補強しました

◎斉 安平 田単


 なんとか俺たち一行は、安平に逃げ込むことができた。

 いやあ捕まったらと思うと気が気じゃなかったが、とりあえず目的地に着くことができたんで一安心だ。



 なんて落ち着いている場合じゃない。今回は馬車が壊れずに済んだけど、結構ガタがきてるんだ。

 次に長距離を全力で走ったら、壊れるかもしれない。


 まあ秦はもう引き上げたようだから、滅ぼされることはないとは思うんだけど、燕の楽毅は斉の首都臨淄を落としてしまったようだ。


 とはいえ、さすがに燕にこれ以上斉を攻める体力はないと思うが、首都を落とされた斉は結構な打撃を受けている。

 いくら、領土が接していないとはいえ、いつ秦が攻めてくるか分からないからな、馬車の補強をしておこう。



「おーい、お前たち」

「旦那さま、どうなさいました」

「馬車の車輪や車軸を補強して簡単に外れないようにしてくれ」

「旦那さま、いくら臨淄が落とされたとはいえここまでは攻めてきませんよ」



 うーん、やっぱりそういう反応するよなあ。

 俺だって、燕がここまで来れるとは思わないよ。秦が来た時の為なんだよな。でもそんなこと言ったらもっとありえないって反対されるよ。


 秦がいずれ天下統一するっていうのは知ってるが、今それ言ってもなあ。

 この時代は迷信深いから、俺に神が降りてきたとかいえば信じるかもしれないけど、他の事聞かれたら分からんし。


 うん。こうなったら燕がこっちまで攻めてくるとか言って言いくるめよう。



「お前たち、そんなふうに燕をなめていてはいけないぞ。今回の燕の大将の楽毅将軍は一人で燕、趙、魏、韓、秦の5ヶ国をまとめた人物だ。燕の軍だけなら怖くはないが楽毅将軍は天下一の名将と言われる人物、ここまでせめいってくるかもしれないぞ」

「そ、そんなお人が敵の大将なんですか」

「ああ、だから準備をしておくべきだ」

「へえ、分かりました。おいお前ら馬車を補強するぞ」


 うちの使用人たちは、我が家の馬車を補強しにいった。

 ふう、なんとか言いくるめられたな。



「おい田単、なんでお前の家の馬車は車輪の補強しているんだ」

「ああ張余か、いや楽毅率いる燕軍が来るかもしれないからな」

「ふーん、お前がそういうならうちの馬車も補強しておこう」






◎斉 安平 荀可(じゅんか)


 ふう、安平に逃げ込むことはできたが、臨淄を落とされてしまうとは…

 今後斉はどうなってしまうやら


「安平まで逃げてきたのに馬車を補強してる奴がいるぞ」

「本当だ、まさかここまで燕軍が来るとでも思ってるのかね」

「まあそういうな、戦わずにここまで逃げてきたやつらだ。燕が怖いんだろ」

「情けねえ奴らだな」

「ああ」




 軍が敗れ仕方なく避難した我らをそのようにいうとは気に食わん奴らだ。

 とはいえ確かに、すでに逃げてきたのに馬車を補強するのは分からん。まさかここまで、楽毅がやってくるとでも思っているのだろうか。


 少し気になるし、見てみるか。



「これ」

「へ、へえ、なんでしょうお役人さま」

「うむ、今そちらが言っていた馬車を補強しているものらはどこにおる」

「へえ、向の辻をまがったところでごぜえます」

「うむ」





 聞いた通りに向かってみたところ、たしかに馬車を補強している一団がいた。

 おっ、あれは田単か。


 むむ、誰がやらせてのかと思ったが田単であったか。

 奴は真面目な男だし、気もきく。仕事も早いし、なかなかの切れものである故いずれ引きあげてやろうと思っていたが…

 田単であるならば、ただ臆病風に吹かれてというわけではあるまい。



「これ田単」





◎斉 安平 田単


「これ田単」



名前を呼ばれ振り返ってみるとそこには、役所の上司である荀可さまがいた。


「これは荀可さま、何か御用でございましょうか」

「うむ、馬車を補強しているものがいると聞いてな。誰かと思ってきてみればそちであったか」

「はい」

「しかし、なぜそのようなことをするのじゃ。ここまで楽毅は攻めてこないと思うが、そちほどのものじゃ、何か考えがあるのか」



 やばい、荀可さまに見つかってしまった。

 俺も日本の教育を受けてきた以上、数学はそこそこできる。

 この時代の人間と比べれば、計算もかなり早い方だ。それをこの方にみられていらい、有能だと思われていろいろ聞かれたり、仕事を任されたりしているんだった。

 日本の記憶があるせいか、俺のものの考え方は柔軟というか変わっているとうか。

 とにかくこの時代の人間にとっては面白いようで、気に入られ、なぜか高く評価されてしまっていたんだ。



 ただ秦が怖いだけなんだが、変な期待されても困るよ。

 とりあえず、さっきと同じく楽毅をほめたたえて、楽毅対策ということにしよう。







「むむむ、楽毅とはそれほどの将軍なのか」

「はい」

「そういうことなら儂も馬車を補強しておくことにしよう」




 俺の話を聞くと、荀可さまも馬車の補強をするために去っていった。

 やばいな。これで楽毅来なかったら俺ただのビビりじゃん。

 いやビビりであることは確かだけど。


 自分や張余の馬車だけなら問題ないけど荀可さままで巻き込んじゃったよ。

 楽毅には来てほしくないけど、来ないと、変な噂で民衆を惑わせたとかで殺されちゃうかも。


 どうしよう?


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