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1話

 「ふむ、これは……」

 俺は、そう呟き、ゲーム情報サイトのその記事を読む。

 そこには『真のVRついに実現!』という見出しとともに、新しく発売されるVRギアの説明と、そのハードでリリースされる予定のMMORPGについて書いてあった。

「へえ……。これまでのVRと違って実際にゲームの中に入るのか…… 没入感はすごそうだな」

 そんな反応をしながら記事を読み進めていると、記事の内容はギアの開発者との対談に移っていった。

 「Flight World Online っていうのか…… ふんふん…… これは絶対面白くなるぞ……」

 記事には、プレイヤーたちは、広大な浮遊大陸を舞台に自分たちの思いのままに四肢を動かし動き回れること、3Dで作ったVRの街を隅々まで楽しんでもらうためにプレイヤーは皆飛べるということなど、FWOに関するいくつかのことが書かれていた。あまり詳しいことは書いてなかったが俺を虜にするのに十分すぎる情報だった。

 記事を読み終わったところでふと時計を見やると、それはデジタルな数字で丑三つ時を告げていた。

 「寝るか……」

 俺は誰に言うともなくそう呟くとPCを落とし、ベッドに潜りこんだ。

 

 この日から、歯車は動き出していたのかもしれない。

 そこそこのMMOゲーマーだった俺に、VRというのはとても魅力的に映ったし、これまで他のゲームではやりたくてもできなかったような戦いや冒険ができるんじゃないかという楽しみで夜も寝られなくなった。

 進行形でやっていたMMOのゲーム内においても、仲間たちの話題はFWOで持ちきりだった。

 残念ながら先行ベータには落選してしまったが、ベータテスターたちの作ったwikiや、知り合いでベータに当選した連中からの情報を可能な限り集めた。

 ベータに当選した友人によると、FWOはゲームというより、新たな一つの世界だという方がふさわしいレベルのボリュームを誇っているそうだ。

 そんなこんなで月日は過ぎ、FWO正式サービス開始の日がやってきた。

 2031年8月2日午後2時50分。俺はVRギアを装着し、ベッドでスタート時刻である午後3時を待つ。

 鼓動の音が自分でもわかるほどに響いている。当たり前だろう。初めてFWOのことを知ってから半年の間、待ち続けていたのだから。

 時計の表示が午後3時になった瞬間、俺はFWOという新たな世界に旅立った。

 


次回 サービス初日

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