荘子ちゃんと恵子ちゃん
荘子ちゃんと恵子ちゃんは仲良しです。
ある日二人は橋の上で遊んでいました。
荘子ちゃんは言いました。
「お魚さん、楽しそうだ」
恵子ちゃんは応えました。
「荘子ちゃんはお魚じゃないでしょ。なんでわかるんだよ」
荘子ちゃんも応えました。
「恵子ちゃんはボクじゃないじゃない。なんでわからないってわかるの?」
恵子ちゃんも言いました。
「ぼく君じゃない。だから荘子ちゃんの心なんてわかんないよ。だけど君だってお魚じゃないもん。だからお魚が楽しいかどうかなんてわからないよ絶対」
荘子ちゃんは言いました。
「お話戻すね。恵子ちゃん、ほんとは最初からわかってたんでしょ、わかってたけど聞いたんでしょ。ボク、お魚さんが楽しいってお堀の上でわかったんだよ」
恵子ちゃんは言いました。
「荘子ちゃんの言うこと役に立たないしー」
荘子ちゃんも言いました。
「役に立たないってことをわかんないと役に立つことだって言えないよ。たとえばねー、地面はすごーくおっきくて広いけど人間が使うのは足乗っける部分だけじゃん。でもそこだけ残してその周りを地獄まで行くほど掘っちゃったら人の役に立つと思う?」
恵子ちゃんは答えました。
「役に立たないー」
荘子ちゃんは言いました。
「ほら、役に立たないもんが役に立つじゃん」
貧乏だけど賢い荘子ちゃんと、魏の恵王と㐮王の宰相として仕えたことのある恵子ちゃんはずっとお友達でした。恵子ちゃんが死んだあとはディベートをやめてしまったと伝えられるほどです。
ちなみに荘子ちゃんは釣りをしている時楚王がやってきて「仕官してくれ」と言ったのに断ったのが一番の自慢。でも、口の回るのを利用して借金には行くよ(楚王じゃない人にだけどね)。