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ぷりまステラ  作者: 季水東吾
ぷりまステラ2 あの日見た夢
9/10

 プロローグ

続きです。第二部というか第二巻というか。一読よろしくお願いします。感想評価ブクマしてもらうと喜びます(笑)



 幼い頃に、一度だけ連れられたことがある。

 賑やかな場所で、特別な空間だった。

 父親の仕事の関係で招待されたのだ。父と母は興味がなかったが、付き合いで断る事が出来ず家族を連れてその会場に趣いた。

 その日見た感動を、彼女は一生忘れることがないと確信した。

 美しいという言葉で表現することさえ憚られる程の絶景。魔法というものが、こんな美しい景色を生み出すことを始めて知った。

 芸術の中では歴史が浅く、軽視される事が多いそれは実際に見るだけでその全てを覆す。

 視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚、その全てを刺激するそれは体全身で感じる芸術だった。

 赤。青。緑。黄。紫。銀。様々な色が踊るように、舞うように弾けて流れて輝いて、宝石箱のような、あるいは宝石を散りばめたような光景が目を楽しませる。

 浮遊した光が一粒、彼女の口に入って舌に触れた。

 甘い。

 宙を舞う妖精が歌い。

 光の帯が観客に幸せの感触を運ぶ。

 そして渦を巻く光が帯にぶつかり、光の雨が降り注ぐ。

 甘い香り。酸っぱい香り。優しい香り。川かもしれない。海かもしれない。森かもしれない。風かもしれない。

 色んな香りが情景を彩る。

 次々と綿密に計算された魔法陣が幻想の世界を作り出していく。

 中心にいるのは一人の魔法使い。

 彼がこの世界を想像した創造主だ。

 ああなりたい。心から、強くそう願った。

 憧れは彼女の魂に篝火を灯す。

 長いようで短い時間は心を強く打ち付ける。

 言葉にならない感動は信じられないほどの盛大な拍手に代わった。誰もが同じ感覚を共有していた。

 口々に言う。奇跡だ。と。

 奇跡の瞬間。それは確かに存在していた。

 あの景色を消して忘れない。

 そして胸を突き動かすこの衝動を消して忘れない。

「私、絶対に――」

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