表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

序章

「ねぇ、おじいちゃん。どうして蛍はちょっとしか光らないの。」

「蛍光灯みたいに光ったら風情がないじゃねぇか。」

「ふぜい?」

「儚いからこその美しさってのがあるんだよ。」

「…」

「5歳児にはわからねぇか。お前にもいつかわかる日がくるよ。」

そういって私の頭を撫でた祖父のシワだらけで皮の厚い手は今でも鮮明に覚えている。


「なぁ、蛍は好きか?」

「うん、ちょっとしか光らないけど好きだよ!」

その時の優しい眼差しも忘れてはいない。




ピピピ ピピピ


目覚ましを止めた。

懐かしい夢を見た。




そんな祖父は私が11歳の時になくなった。

末期がんだった。

余命なんぞとうに超え、まったく儚くなんかない死だった。

手足は骨と皮だけになり、頬はこけて、腹だけ水が溜まり膨れ上がっても、最期まで格好よい祖父だった。




それから更に16年後、私は医者になった。

何となく、医者になれは祖父の言葉の意味が分かる気がしたんだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ