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死 9
……ヤバいトコにおるんやないかいのぉ……?
土田は椅子に腰掛けたが、鞘に手を掛けた。いつ襲いかかられても対応できるように、だ。
それを見た少年はまた笑った。「お兄さん、僕達は君を殺そうなんてこれっぽっちも思ってないよ」そう言って少年も向かいの席に座る。
「まずは自己紹介から……んじゃ君からね、お兄さん」
どうも掴めんガキやの……
「……土田寛平や」
「ふうん、で、現世で何人殺したの?」
「……!!」
なんや、このガキ。なんでワシが人殺しや分かった……?
んで……「現世」ってんわ……?
暫くの沈黙の後、土田が
「……なんや、貴様ポリか?」と聞き返した。
すると少年は「へぇ、何にも知らないんだね」とおどけた調子で言ってから
「……僕の名前はね……通称だけど、ジャック。切り裂きジャック。分かるかい?」
と続けた。