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死 6
次の瞬間、泣き喚いていた女が突如として懐からピストルを取り出し、銃口をこちらに向けてきた。
「こっちに来るなぁあぁ、クソ死達ァ!!」
打ち震えながら、嗚咽を漏らしながら、叫ぶ。相当に息が荒い。眼の瞳孔が完全に開いていた。明らかに殺意のある眼だった。罵倒が続く。
だが、次第に声は弱々しくなっていき、瞳から大粒の涙を漏らし始めた。
「逃がしてよ……お願い……ここで死ぬなんて私……」とうとう、女はひざまずいてしまった。
ーーなんじゃあ、コレ?
土田には状況が全く読めなかった。
助けた少女がいきなり銃口を向け、泣き始めたのだ。
さぁ、これはどう取ったらいい?
土田には思いつかなかった。
取り敢えず、慰めてやることにした。
しゃがみ、女の頭を撫でる。
「…ワシゃあヌシん命なんぞ取りゃあせんよ。安心せいや」
そうしてやると、女は徐々に落ち着きを取り戻していった。