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残骸に溺れる溺れさせる 3
「愛してる」
「な……何だい急に……?」
ブレンダからの唐突な告白。どもらずにはいられなかった。
慌てるジャックを見て、ブレンダは微笑んだ。
「いや、今日か明日で絶対私達、別れる事になるよね。蘇るか、死ぬか……今言わなきゃ言えなくなるから……」
「……」
「でも、もし二人共蘇られたら……私が貴方の所へ行くよ」
ジャックはイギリス。ブレンダはアメリカ。広大な大西洋で隔てられた、異国と異国。
「船で?大変だよ?」
「今、現世では飛行機っていう乗り物があってね、飛ぶの、空を」
ジャックが死んだのは1800年代。ライト兄弟が友人飛行を発明したのは、1903年。知るはずがない。
「え!?凄いなぁ!!ヒトが鳥みたく飛べるのか!!」
「うん、だから…さ。私達一緒に辺獄から抜け出そう。生きて還ろう」
一緒に死ぬという案はない。
ここで死ぬと魂は完全に無に帰すからだ。