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残骸に溺れる溺れさせる 2
土田達は今、樹海の中を突っ走っていた。
洞穴を出て三十分経つが、三人の走るスピードは衰えない。
土田はようやく樹海のぬかるんだ土が足に馴染み、ジャック達についていけるようになった。
ブレンダは肩を治療したばかりだが、元気な様子でジャックに平走していた。そればかりか、かえって表情が生き生きしているように見える。
けたたましい高揚感が彼女の胸の内で響いていたのだ。
彼女は、辺獄に放りこまれて二十年になる。
今日が待ちに待った審判の日だ。今日で全てが決まる。生も死も……。
この言の葉から抽出される、喜びと恐怖……。
だが後者は、死ぬ覚悟という媒介によって、中和された……。
「……ジャック」
「何だい?ブレンダ」
平走しながら会話を始める二人。後ろからついてくる土田に聞こえない程に声量を落とす。