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紡ぐ者 8

 しかし、それを小賢しいと言わんばかりに、飛んだ左腕を一瞥もせず、ホームズは強引に、猛然と、ジャックに突っ込んでいった。

 たじろいだジャック。余りに予想外な出来事に、まだ体勢が取れてない。

 ブレンダの銃弾がホームズの横腹を貫いた。血が爆ぜ、臓が飛んだが、構うことなく突き進む。

 だが、

 「待ちぃや、タコぉ!!」

 土田の怒号には反応した。

 足を止め、振り返ると、数十メートル先に昨日殺し損ねた奴が居るではないか。

 「出たなァ、昨日の糞野郎が!!殺してやるよ!!」

 血走る眼をたぎらせ、今度は土田に向かっていった。

 足元には沢山の泥濘、段差、蔓や根などの障害があるというのに恐ろしい速度だ。

 彼の注意が逸れたジャック。これを機と見てメスを投げようとするが、止められた。

 「ガキャァ!!儂の邪魔立てすんなや!!」

 どうやら土田はホームズを正々堂々迎え討つ気だ。

 そんな無茶な。ジャックは思った。

 ホームズは化け物だ。ただの人間が独りで勝てるわけがない!!

 土田が腰に挿した刀の鞘に手を掛ける……。

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