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紡ぐ者 7
「はァ……!?気違い…!?結構だよ。俺は生前なぁ、いーっぱい人殺したよ。ホテル建ててな、客閉じこめてガスよ。愉しかったぞ…!!とても……!!ヒヒヒヒィヒハヒ!!殺したぁ最高だァアァァ!!」ホームズの赤い目玉が飛び出ん程に剥き出しになって、痙攣して、更なる紅を求めている。
人間の目じゃない、とブレンダは身震いした。
『死達』。人間を辞め、人間を越えた人間となった存在。早くもメスによる傷が癒えていた。
直後、ホームズが猛然とジャックに飛び掛かった。
それと共にワイヤーの束が横に薙ぐように迫る。
昔と比べてワイヤーの量が段違いだ、とジャックは汗を垂らした。
一本のメスを両手に構え、ワイヤーを斬りに掛かった。
だが、メスの刃とワイヤーが接触し、金切り声に似た衝撃音が響いた直後、ジャックの体が吹き飛ばされた。地面を転がって、苔がこびり付いた大木に当たって止まる。スーツが土と苔とで滅茶苦茶に汚れた。
「ふぅ。かかった♪」うつ伏せのまま、ジャックが自分の腕を振る。
すると、ホームズの左腕が千切れ飛んだ。




