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紡ぐ者 1
ジャックが先陣を切り、ブレンダ、土田と続いて樹海を駆ける。
土田はこの地に来て僅か二日なので、樹海の地形に足元に取られ、二人より少々遅れていた。
慣れてない。
「お兄さん、しっかり~」振り返ったジャックが手を降った。
「早くして」ブレンダが苛立つ。
「下駄でおみゃーらみたく早う行けんのや」せっせと足を動かすが、あまりうまく動けない。
薄暗い樹海。
土田達は今、『放浪者』を狩ろうとしていた。
『放浪者』とは、この世界に来て間もなくで、独りで右往左往している者の事であり、昨日の土田がこれに該当する。
因みに、今の土田達の事を『狩人』と呼ぶ。組織とテリトリーを持った者達の事だ。
半径8キロのテリトリーを持っているジャック達はその中を『放浪者』が居ないか捜索する。
今思えば、昨日、土田はこの中を放浪していたのだ。
この世界に来た時、土田が現れた場所がこのテリトリー内でなかったら別テリトリーの『狩人』に殺されていたかもしれない。