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重苦しい安寧 3
しばらくしてから土田は適当な樹木の前に立ち、目を閉じた。
刀の柄に手を掛ける。
土田は昼間襲ってきたH.H.ホームズの事を思い出していた。
「……ジャックの坊主が助けてくれへんかったら、ごっつ痛い思いしとったの……」
ホームズのワイヤーをかわし、距離を詰めた土田。だが、その距離は刀を振るうに余りに長すぎた。
千人以上を殺したと言ったホームズ……。
ジャックの話では万単位で殺した死達もいるらしい……
もっと強ぅならにゃああかん!
居合いで目の前の樹木を斬った。一文字の傷跡から、年季の入った薫りを鼻から吸い込んだ。
烏の鳴き声が止んだ。
いつの間にか、ブレンダの声もしなくなっていた。