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重苦しい安寧 2
するとブレンダが急に笑いだした。女のクセして厭に大きい笑い声だった。
「冗談よ。ジャックがド変態だって事、私は百も承知だから」
土田に近寄り、肩に手を置く。
「次。巡回貴方の番」
土田はブレンダに洞穴の外へ押し出され、ランタンを一つ持たされた。
「敵が近づいたら知らせて。サボらないでよ、撃ち殺すから」吐き捨てて、ブレンダは洞穴の中に帰っていった。
土田が暫く突っ立っていると、ブレンダの喘ぎ声が烏の五月蠅い鳴き声に混じって聞こえてきた。
ーー狂うとる…
土田はぼんやり考えた。
洞穴から少し離れて緑の樹海を進むと、喘ぎ声を烏の鳴き声が掻き消してくれるようになった。
喘ぎ声を聴いていると、何か厭な感情が込み上げてくるのを感じたのだ。