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狩りの極意 4
「何じゃあこりゃぁ……!!」
気付くと土田の四方八方に無数のワイヤーが張り巡らされていた。
端から見ると、土田が蜘蛛に絡め取られた蝶のようだ。
「引っ掛かった、引っ掛かった。馬鹿が」目の前にあった大木の陰から男が現れた。黒のスーツを着たのっぽの男だった。顎の無精髭と眉間の深皺で顔に年季が感じられる。
「俺の名はH・H・ホームズ。死ぬ前に覚えとけよ」真紅の瞳でこちらを愉悦たっぷりに眺める。わざとらしく皺を引きつらせる笑いが憎たらしい。
「さて、お前が第1106人目の犠牲者だ。アーメン!!」
ホームズが一本のワイヤーを掴み、手綱のごとく引いた。
その途端、張り巡らされたワイヤーが一斉に土田に押し寄せてきた。
それを見た土田が咄嗟に地に伏せると、頭上で無数のワイヤーが交差した。
「おいおい、死ねよぉ、さっさと死ねヨォ」
ホームズが新たなワイヤーを出した手を振るった。
すると、そのワイヤーが一直線に土田の顔面目掛けて飛んだ。
土田は日本刀でこれをいなすと、ホームズの方へ猛然と走り出した。