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狩りの極意 2
人影を見つけた。
土田から遠く離れたところでふらふら辺りを彷徨いている男の影。
近づくと、男が放心した目で、手に包丁を持っているのが分かった。
ーーヤツなら簡単に殺れるわい
ほくそ笑んだ。
さらに近づいてみると、おかしな事に、いつの間にか男の姿が見えなくなっていた。
気付かれたか、感づかれたか。
土田は思ったが、どちらも違っていた。
既に踏んでいた。
男を。
踏んだ足元を見て驚愕する。
男の首から上が無いのだ。
男は土田が知らぬ間に殺されたのだ。
つまり、男を殺した奴がすぐ近くに潜んでいる……。
土田は刀を抜いて周囲を見渡した。
人影が樹木と樹木の間を抜けて消えたのが見えた。