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死 11

 「とにかく僕は、切り裂きジャックだ。ジャックって呼んで。それと、今お兄さんにライフル向けてるのがブレンダ。ブレンダ・スペンサー。生前、ライフルで二人殺したんだ」ジャックはそう言うと、小汚いグラスに注いであった水を少し飲んだ。


 ここで土田ははっとした。


 「おい、今、貴様『生前』ちゅー言いよらんかったか?あ?」

 「ハハ、ここは『地獄』だよ、兄さん。知らなかった?」

 土田は衝撃を受けた代わりに納得した。


ーーあぁ、やっぱりワシは死んだんか。


 黙る土田に畳み掛けるようにしてジャックは続ける。

 「ただねぇ、ここは『辺獄』って言って地獄とは違う所なんだ。罪はあるけど現世で人を殺してない人間は地獄へ、僕らみたいな人殺しが来るのがその地獄の底辺、『辺獄』っていうこの地さ」

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