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死 10
土田は今まで三十人以上の命を奪ってきた。他の組との抗争に次ぐ抗争で今の「若頭」という地位にいるのだが……。
今、そんな昔話をする場合ではない。
土田の目の前にいる少年が、自分は切り裂きジャックだ、と言い放ったのだ。
が、土田は即刻切り返した。
「貴様、ヤクかなんかで頭イカれてしもとんかい?アホか。切り裂きジャックなんぞ遠い昔におらんなっとるわ。なに戯言ぬかしとんじゃ」
「だぁかぁら、今、君の目の前にいるのが切りさ……」
「じゃかましいわ、おどれェ!!」
激昂して立ち上がる土田。
の後頭部に固い物が押し当てられた。
「静かにして。洞窟はとても響くの。五月蠅いの嫌いなの」
ブレンダのライフルの銃口だった。
「……チッ。もといのぉ……」生殺与奪の権を握られた土田。席に戻った。
「君って元気いいねぇ、アハハ♪」ジャックが艶やかに笑った。