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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
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先輩と後輩。伝えられない想い。

先輩は気づいてしまった

作者: moco
掲載日:2026/06/23

どうしよう、あの子がとても、艶っぽい。

なんて。お昼休みに入って気づいてしまった。


いや、理由は気づいているのだ。あの子の、本日の使用しているリップ。以前に話題に出していたモノ。

少し肌色を明るくする、あの子の元気さが伝わるピンクベージュのカラー。

好きなコスメが出るからと、何色が良いか私に相談してくれたリップ。あの子が話題に出してきたから、あの子に似合うのではと、確かに私は答えていた。それは、忘れもしない。あの子との他愛もない女子トークだったから。まるで、仲の良い友のようで嬉しかったのだ。

だけど今日、この月曜のお昼に気づいてしまうなんて、、、

まだ仕事も始まって一日も経ってないのだ。これから、あと4日もこの(あで)やかなあの子を見ていなければならないのか、、?

仕事であっても、キツイではないか、、、そう、確信してしまった。。。


「先輩、どうかしました??私の顔を見て、、、何か付いてます?」

しまった。あの子に誘われお昼を共に取ろうと、食堂に来ていたのだ。

メニュー表も見ずに、後輩の顔をマジマジ見ているなんて、なんてわかりやすい行動をするとは、、、!

「え、えぇ。なんでもないわ。ちょっと、ね。あ、お昼、日替りは今日何かしら??」

「えー。ちょっと何だったんですかー??気になりますよ??もう。…今日の日替りはサバの塩焼きみたいです。あ、味噌煮に替えることができるみたいですね。うーん、悩みますね、先輩。」よかった、彼女の話を逸らすことが出来た。ホッとしながら。

「そうね、折角だし、味噌煮に替えてもらおうかしら。塩焼きもヘルシーで良いけど、ちょっとご飯をかき込みたい気分だもの。。。」あぁ、この顔の火照りを冷ましたい。気づかれる前に終わらせたい。だから、ガッツリ食べることを選んだ。

「え、先輩。珍しい。サッパリしたものが好きじゃなかったです??むしろ私が好きな味ですけど、先輩が選ぶなんて、今日大丈夫ですか??」

身体の調子が悪いのではないか、彼女に心配させたけれど、これは仕方ないと思う。

好きな子が、いつもと違う様子でいるのだ。気づいてしまったら、私は可愛さに溺れてしまう。だから。

「そんなこと、ないわ。。?ちょっと今日は気分転換したかったのよ。。。」なんて、返していた。

「そうですか?それなら、いいんです、、、」



やはり失敗した。濃い。味が、強いのだ。魚を味噌で漬ける意味がわからない、、、

そう思ってしまう程濃い味が口を支配する。

どうしようもないほど、お腹にもたれてくるけれど、仕方ない。。。気分を変えようと乱心した私が選択したものだ。責任をとって食べてしまわないといけない、、、

はぁ、あの子の艶っぽさに勝手に動転して、お昼のメニューをミスるなんて、どうかしている。

なんて、ため息を吐いたのが余計にいけなかった。

「もう、先輩。やっぱり味噌煮、お口に合ってないじゃないですかー。」プクッと膨れた頰に差す朱色、そこに色づくピンクベージュのリップが目に映る。しかも、グロス入りみたいでツヤツヤと光っている。なんて、愛らしいのだろう。

元々この子の全てが、私にとってはキラキラと光っているのだ。だから、少しでも様子が変わると、こんな仕草ひとつでも、私の心臓が跳ね上がるのだ。

ダメだ。これは、今日はこの子を見ていられない。。

そう、目を逸らしたけれど。

「し、仕方ないじゃない。気分は味噌煮だったもの。だけど、身体は受け付けなかったみたい、、、やっぱり、塩焼きにしておけばよかったわ。。。」はぁ、ため息ひとつと、半分以上残る味噌煮に目を映すしかなくて。余計に哀愁を漂わせている。

「ほんとに先輩ったら、考えなしなんですからー。こうなること、分かってたので、私は塩焼きです。」

えへん、とでも言うかのように胸を張る彼女。この子が塩焼きであることが、どう考えているのか?首を傾げて見ていたら。

「先輩ったら。。。私が塩焼きなので、食べかけですけど交換しましょう??」そう、私を見てくるのだ。

「えっ??交換?するの??私の味噌煮と、貴女の塩焼き、、??」そう、聞き返してしまった。それに、それは、、、

「はい、そうですよ。他に方法ないですから、先輩絶対食べなくなるだろうなって思ってたので、あまり食べないで待ってました。」

然もありなん、そう言いたげで得意げな様子が可愛らしく、見惚れてしまう。それに、私を理解しているようでくすぐったいではないか。。。

そう、全ての事象が重なって落ち着きなく私がなっていると。

「先輩?味噌煮、食べれるんですか??私の塩焼きと交換しましょう??」

もう一度こちらに聞いてくれた。だけど。

「え、えぇ。本当にいいの??私の食べかけよ?」

「それは、先輩もですよ?私の食べかけですけど、交換いいですか??」

少し苦笑ぎみにこの子が返してくれるから。

「ぜ、全然問題ないわ。むしろ、すごく助かるわ。自分でもどうして味噌煮にしたのかというくらい、ちょっと食べるのがキツかったから、、、」

なんて、ホントのこと、言ってしまった。

「ふふ。先輩ったら、ほんと、たまによくわからない事しますよね。理に敵わないというか、本能的というか、、普段の冷静さとか理論的な行動が嘘みたいに感情的に動きますよね。」


少しの呆れ顔と一緒に彼女、私を嗜めてお皿を交換してくれて。

「い、いいじゃない。たまには気分で行動しても…」ちょっと反論しにくかったけれど、一応、楯突いて答えてみると理路整然としないから、小さな子どもの言い訳じみて聞こえてしまう。

「まぁ、そうですね。そんな時もいいですけど、先輩、そういう行動する時、大抵が裏目に出てますよ??」

気づいてましたか?なんて、私の方が先輩だというのに、嗜められるように言ってくるし、なんだったら今日は彼女の方が、少し大人っぽい。

だから、ってこともないんだけど、ちょっと癪だったから。

「そんなこと、ないわよ。。。私、日頃から自分の思うままに行動してるわよ??ほら、仕事の時だって、思いつきで言ってるけど当たることが多いでしょう??けど、今日はちょっと、自由過ぎただけだもの、、、」

目を逸らしながら、あの子に言い訳をしてしまった。


本当は、嘘。思いつきで仕事なんて怖くてできない。

1日考えて、しっかり方向を決めてからじゃないと、進めない。。わかりやすい、嘘。

「もー、先輩。そんなわけないじゃないですかー。普段から先輩って、ちゃんと準備してから教えてくれてますよ?そんな言い訳しても、バレますって、、、」

苦笑染みた表情(かお)をしてまたもや嗜められてしまった。本当、今日は全てが上手くいかないし、口が回らない。上手く言葉に出来やしない。

それくらい、この子の姿に動転している。

だって本当に、私の心を射抜くのだ。私が良いと言った色。彼女が自分でどれにしようか悩んでいたいくつかの色。その中で私が1番似合うと言ったものを、選んでいる。

それが、何だか嬉しいのだ。。。よく、似合っているし、全く愛らしい。もちろん、最終的に自分で選んだのだろうと思っても、最後の2つで悩んでいたあの子に、1番似合うと言った私の言葉を、信じてくれた。なんて、勝手に思って浸ってしまうのだ。

「あ、先輩。早く食べないと、休憩終わっちゃいますよ?急いで食べちゃいましょう??」

そんなことをしていたら、お昼すら過ぎてしまいそうだった。

「え、ええ。気づかなくてごめんない。直ぐ食べるわ。」


けれど、浸っていたのはそれだけじゃないのだ。。。

どもってしまうほど、別の要素に動揺している。あの子は、気にしてないみたいだけど。。。いや、むしろ女同士ならそれが普通だろう。

だけど。これは、間接キスになってしまうのだ。

あの子の食べかけのサバを、私が交換して、、、

今まで、箸で口に触れる前に一口を交換したことは何回もある。だけど。こんなに食べかけを分け合うなんて、まるで仲の良い友人。。。

いや、それ以上なんて、夢想してしまう。それくらい、ドギマギしてしまうのだ。

だけど折角の好意を変な気持ちで見てるなんて、知られるわけにいられない。。。なんだったら、変態みたいで、ちょっと自分が嫌になる。

だけど、でも、、、

仕方ないではないか。一度は夢想する。愛しいあの子の唇に、その潤んだ口元に触れてみたいと、交わしてみたいと、思うではないか、、、

それは、許されないことだと分かっているから余計に後ろめたい気持ちになって。

そう、自己嫌悪に落ちてしまって、食べようか逡巡していたから。

「先輩?もう、塩焼きでも胃もたれしちゃいましたか??食べられないですか??」優しく聞いてくれる彼女にもっと申し訳なくなってしまう。

「い、いいえ?大丈夫よ??ちょっと、考え事してただけだから、直ぐに食べるわ?」

「無理しないでくださいね?無理なら私、そっちも食べちゃいますから。」

あぁ、気を使わせてしまった。本当に、出来る後輩は、優しくて気配りも完璧だ。



なんて、現実逃避をしながら、あの子の口元なんて絶対にみないように、無の境地で黙々と塩焼きを食べ出した。。。



「美味しかったですね。先輩。」

「そ、そうね。美味しい塩焼きだったわ。。」

「…先輩。味噌煮頼んでいたのに、塩焼きが美味しかったって、なんという残念な回答ですか、、、」

クスクスと笑いながら、私の返事を楽しそうに反芻している彼女。本当に、気心の知れた友の様子で私と軽口を叩いてくれる。昔ではありえないほど、仲良くなれたと思う。

「べ、別にいいじゃない。結果的に塩焼きをほとんど食べたのだから、美味しいって知ってるもの。」

私から、ちょっと言い訳じみた話し方になったけれど、そこは、仕方ない。私の性格ではここまで。

上手く言い返せやしない、、、こんな時のあの子は一枚上手。

「先輩……それだったら、私もほとんど味噌煮だったから、味噌煮の感想しか言えなくなっちゃいますよ?」

いたずらっ子のように話すあの子にタジタジになるのだ。だから、途端に弱気になるし、全てがネガティブに捉えてしまう。この子の全てが輝いているから、自分と比べて余計に悪く考えてしまう、、、

そんな自分がもっと嫌になるけれど、この子が喜んでくれるなら、私は道化にだって何だってなって、しまおう。なんて、変に気持ちを切り替えてしまう。

「もう、すぐそういうこと、言うんだから。揶揄わないでほしいわ。だけど、私も味噌煮の感想、言えなくなっちゃったじゃない。」

少し拗ねたように返してしまった。

ああ、だけどそうすると、あの子がクスクスと笑ってくれて、変にポジティブに考えてしまう。

「先輩と話していると、疲れが飛ぶから、この後も頑張るぞって思っちゃいます。」

ありがとうございます、って。こんなダメな先輩だけど、ちゃんと私を見ていてくれる。それを分かってるから、この子に凭れたくなる。

「そんなこと、私だって、、、」




それは、先輩後輩として許されないことと分かっていても、どうしても甘えてしまう。私のとても、悪い癖だ。。。

あの子にとって、頼れる先輩であろうと努めると、私に甘えてくれて、私も甘えさせてもらえて、、、信頼関係ができて、その関係が、他愛もない冗談を言い合えて。。。余計に自分の首を絞めてしまうのだ。

それが、とてもつらい。。。

とても、仲良くなればなるほど、この関係が壊れることが怖くなって、動けなくなってしまう。

それくらい、あの子のことが、好きなのだ。

そんなことに、何度も気づいてしまうのだ。。。


あの子は、私にとっての、ただ一人なのだ。。。

私があの子にとってのただ一人になれなくても、一番優しい先輩でありたいと、希ってしまう。



そんな気持ちに、これからも気づいてしまう。。。。



「そんなこと、私だって、、、、」

いつも、元気をもらってるもの、ありがとう。そう、先輩が声を掛けてくれて。

いつも、助けてもらって、恩返しがしたくて、先輩の一挙手一投足を追ってしまう。それが余計に、気づいてしまう。

先輩の好きなもの、好きなこと、好きな、時間。

だから、私も先輩と同じ時間を過ごしたくて声を掛けて、突然すぎる出来事に手伝いたくなって。。。

分かり易すぎる行動に面白くなって、揶揄って。

先輩と、楽しい時間を過ごせていて。それを先輩も満更でもなさそうにしてくれるから、勘違いしちゃう。


だから、私のリップにも気づいてくれるかなって、試しちゃう。

先輩が、1番似合うと言ってくれたリップをつけて、何か進展ないかなって。

それでも、先輩は気づかない。

私の気持ちに、気づくこともない、、、、


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