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マルボとキャス  作者: 苺堂本舗


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6/14

【第6話:入学】

ガヤガヤとざわめく教室。

窓からは日が差し込み

他の生徒がより一層キラキラと輝いてる様に見えた。


マルボは自分の席に座り

誰に話すこともなく頬杖をつき

机の角を見ていた


分かっていた

馴染むことが難しいことなんてー


自然と溜め息が漏れる

平和すぎるこの空間が

笑い声が響くこの空間が

自分には相応しくない…


斜め後ろのキャスを見る

キャスはキョロキョロと周りを見ては

顔を赤くしー俯くを繰り返している


「お前もそうだよな…」

ボソッと呟き、また机の角を見つめるー


ガラガラーっと教室のドアが開き

コツ…コツ…と足音が中央に向かう


嫌な予感はしていた。

でも、まさか――



ー登校前夜ー

制服姿ではしゃぐキャス。

スカートをクルクル回しながら、鏡の前で無邪気に笑っていた。


ロゼは玄関で、帰宅の準備を終え

「それじゃーーーーっ!二人とも!

 ちゃんとお勉強頑張るんだぞぉ〜♡

 ちゃ〜んとしないと〜先生にぃ〜すっごくすっごく

 怒られちゃうからね〜〜っ♪じゃあね〜!」


マルボは

「マジで、うるせぇな…」とぼやきながらも、

嫌な予感をしていた…


そして、嫌な予感は的中するー


足音が止まると同時に、聞き慣れたハイテンションな声が教室を支配した。


「はじめまして〜♫

 今日からこのクラスを担当するぅ〜


 ロゼ先生でぇ〜〜〜〜す♡」


「ロゼちゃんでも!

 ロゼたんでも!

 ロゼっちでも呼び方は

 好きにしていいからねぇ〜♡

 みんな、仲良くしてねぇ〜〜〜っ♪」


マルボの思考回路がが一瞬で停止する。


「……なぜ、お前がいるーーー!!!」


全力で突っ込みたい気持ちを押し殺し

頭を抱えるしかない…

チラッとキャスの方を見ると

キャスは目をキラキラさせてロゼを見つめてる


「まぁ…いっか…」


「しっかし」

マルボは思わずぼそりと呟く。

「……どんな手使ったんだよ、あのギャル教師……」


教室内はロゼのせいで騒がしく

容赦なく明るい空気がマルボを覆う…


「やっぱ……人多いな……」

「フードかぶりてぇ……」

「落ちつかねぇ……」


窓の向こうでは、桜が風に舞っていた。


チャイムが鳴り終わると、ロゼはいなくなったが

教室内の騒々しさは止まない。


生徒たちがそれぞれ思い思いに声を交わす中、

キャスのまわりにも女子たちが集まり始める。


「ねぇねぇ中学で一緒じゃなかったよね?」

「ねぇねぇ、マジ可愛い〜〜♡」

「ほんとそれ〜!てか地元の子じゃないよね?」

「そのヘアピン可愛い!」

「え〜髪もツヤツヤで可愛い〜」


キャスは、固まっていた。

笑顔だけはなんとか貼り付けていたけど、目が完全に迷子。

(ひ、人……近い……はなし……わたし……)

口をパクパクとさせながらも、一言も発せない。

その小さな肩は、尋常じゃないほどこわばっていた。


一方マルボの方にも、男子生徒が2人近づいてくる。


「なぁなぁ、お前どこ中だった?」

「あの先生まじで可愛い〜このクラス当たりじゃね?

「好きなゲームとかある?」


マルボはノーリアクション。


それでも空気を読まない男子達はしゃべり続ける。


「あの子、お前の妹だよな?」

「妹ちゃん、可愛いよなぁ〜〜♡」

「紹介してよ〜!マジで付き合いてぇ〜」

「付き合ったらさ、お前のこと“おにぃちゃん”って呼ぶわwww」


――その瞬間。


ガタッ!


マルボが無言で立ち上がる。


「……」


男子たちは一瞬ビクッと固まり、空気が止まる。

マルボは静かに顔を近づけ、

周囲に聞こえない声で――


「……釣り合わねぇから、やめとけ」


その声は、低く、確実に“殺意”を孕んでいた。

男子たちは呆然と立ち尽くし、

教室に再びチャイムの音が鳴り響いた。


ー放課後 ー


夕陽が射し込む廃ビルの一室。

制服のまま、キャスとマルボは椅子に沈み込んでいた。


マルボが目を閉じたままぼそりと呟く。


「……マジキツイ」


キャスも頭をガクンと垂らしながら、


「……10年分の、いらない“可愛い”もらいました……」


その沈黙の中、ふいに聞き慣れた声が響いた。


「……社会人、つっら……」


ビクリと振り返る二人。

その視線の先――

ソファに倒れ込んでいるロゼ。


「って、なんでお前がいんだよ!!!」


マルボが叫ぶ。


「学校のあとまた職場(バーunderbearー)に帰んのが嫌なんだよぉ〜〜……」


ソファに倒れたままー魂の抜けた顔で呟いた。


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