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マルボとキャス  作者: 苺堂本舗


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5/14

【第5話:承認】

部屋はシンと静まり返っていた。


真っ暗闇の中で一人イスに座り

テーブルに顔を突伏すキャスの隣に

マルボは腰を掛け

ランプに火を灯す


明るくなっても顔をそむけ不貞腐れるキャスの

頭の上にそっとロゼから貰った封筒を置く…。


「……ほら」


キャスは無言で封を切り、書類を取り出す。


目を何度も擦りながら何度も見返す。



「……嘘……」



疑いの色を含んだ声で、ゆっくりとマルボの顔を見上げた。


彼女の手にあるのは――


『学校の入学証明書』


マルボは冷蔵庫の中を覗き込みながら棒読みで発する


「ごにゅ〜がく、おめでと〜ございま〜す」


突然の言葉に、キャスは嬉しそうに走り寄り、マルボに抱きついた。


「マルボォ〜だいすき〜♡」

「……だ〜!そう言うの、マジでやめてくれ」


キャスはいたずらっぽく笑い、

さらに問いかける。


「でも、マルボも行くの?」



「え?」



キャスはマルボにもう一枚の紙を差し出す。

そこにはしっかりと


“マルボ・マイセン本校の入学を許可する”


と記されていた。


マルボは一瞬、ロゼからの封筒を見つめる。


「あいつ……」


部屋の静寂を破り、ガチャリとドアが開く音。


二人の体がぴりりと緊張に包まれた。


「たっきゅーびんでーす!

 忘れ物お届けにあがりましたー!」


キャスが飛び跳ねるように駆け寄り


「あっ、ロゼだ!!!」


キャスが荷物を受け取り

満面の笑みでマルボに差し出されるー


目の前に差し出されたそれは…

男性用の制服だった。


「追加料金払えねぇぞ……」


マルボが呟くと、ロゼはクスクスと笑い、


「ごにゅーがくおめでとーございまーす♡」と

からかうように声を響かせた。


「マジで最悪……」


「……おい」

マルボがぼそりと声を漏らす。


「ん?」

ロゼは首を傾げる。


「楽しんでんだろ」

「いやいやいやいや~~

 そんなことぉ~~~……あるかな♡」

悪びれもなく笑うロゼ。


「……チッ」

マルボの舌打ちが、小さく部屋に響く。


そして、奥の方から、ふんふふ〜ん♪と鼻歌が聞こえてくる。


キャスが制服に着替えているようだ。


ロゼは目を細めながら、ぼそっと呟く。


「あんたがいないと、学校が血の海になるわよ」

「……あの殺戮兵器止められるの

 アンタだけなんだから」


一瞬だけ視線を伏せ、

マルボがぽつりと呟く。


「……絶対、払うから…」


ロゼは少しだけ目を細め、やわらかい声で返す。


「お金より、“ありがとう”の方が

 おねーさん嬉しいんだけどなぁ〜♡」


マルボは俯き両手をパーカーのポケットに入れ

小さな声でポツリと…


「……あ、あ……ありが……」


「見て見て見て見てーっ!!」

制服に身を包んだキャスが、勢いよく部屋から

飛び出してくる。


「可愛い!?可愛いよね!?超撃かわだよね!!」

スカートを翻しながら、クルクルと回転する。


ロゼが即座に叫ぶ。

「ちょーーーー可愛いッ!!

 マジ天使降臨って感じ!!

 映えすぎて爆発する〜ッ♡」


マルボは、一瞬だけ視線を逸らし―

ふっと、少しだけ笑った。


ほんの一瞬だけ、

味わったことのない温かさを感じたー

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