【第4話:Under bear】
河川敷の下――
誰も気づかないような古びた階段の奥ー
チカチカと不安定に点滅するネオン看板。
そこには「Under bear」の文字が輝くー
カランカランカララ〜ン♫
ドアを押し開けマルボは、慣れた足取りでカウンター席に座る。
中は狭く、暗く、酒の匂いが染みついていた。
天井のファンはギィギィと鈍い音を立てて回っている。
しばらくして、奥のカーテンがひるがえると
「待ってたクマ〜〜〜♡」
商店街にいたクマの着ぐるみが、ぴょこぴょこと現れた。
「マルボ、元気してたクマ〜?♡ 今日ね、スペシャル カクテルあるクマよ!でもお子ちゃまには、
ちょぉ〜〜っと刺激が強いかもぉ〜♡」
「はぁ〜…」
マルボはうんざりした顔で、ため息をつく。
「……ロゼいいから早く脱げよ、その頭……」
「えぇ〜〜!?こんなにカワイイのにぃ〜?」
着ぐるみの頭を脱ぎ、現れたのは――
ピアスをつけたポニーテールのギャル。
「っか〜〜!マジ暑っ……てか、マルボの頼みごと毎 回めんどすぎなんだけど〜
あと、あれ!!毎回呼ぶ時に足蹴るのマ〜ジで
やめて!あたし意外と打たれ弱い中身ガラスの
陽キャなんだから〜⭐︎」
彼女ーロゼは、話しながら、慣れた手つきでヘアゴムを外し、髪が肩にさらりと落ちると軽く首を振って髪を散らした。
「……でも、私レベルになると〜楽勝♡
ほらぁ〜マルボくぅん、お姉さんに
も〜っと甘えていいのよ♡」
マルボは、顔を赤くし、慌て、イスごと倒れそうになる。
「ふふふウブなんだから〜
こう言うところは子供なのにねぇ〜……」
カウンター越しにヒラッと封筒を見せつける
「これ、頼まれたやつ♡」
マルボは額を押さえて、低い声で。
「……あぁ、もう。さっさとよこせ……」
「はいはい……で?お支払いは〜?…カード?現金?
それとも……カ・ラ・ダ?♡」
マルボは顔も見ずに
「ほら。これで十分だろ」とカウンターに札束を置く。
ロゼがちょっとつまらなそうに口を尖らせた。
札束をレジに入れると、ロゼはカウンターに肘を立て顔をマルボに寄せる…
「でもさ〜…マジで足つけられたら
ほんと…ぶっコロすからね?
…ガチで。」
「……そんなヘマしねぇよ。じゃあな」
軽い身のこなしでイスから飛び降り、背を向けて手を振るマルボ。
そんなマルボの背中に向かってロゼは甘い声で
「は〜い、お客様一名お帰りで〜す♡
いってらっしゃいませ〜〜ごっしゅじんさまぁ〜♡」
マルボはため息をつき無言で扉を開ける。
あのうるさいベルが、また鳴り響いた。
カランカラランッ!!
ドアにもたれマルボが呟く
「はぁ……マジで最悪……」
誰もいなくなった店内でロゼが呟く
「つまんないガキ…」




