表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マルボとキャス  作者: 苺堂本舗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/14

【第1話:傲慢】

――夜。

ビルの明かりは遠くまばらで、街はすっかり夜…。

不揃いの大きさの石が敷き詰められた道の上を、二人の子どもが歩いていた。


少年は小柄で黒いパーカーのフードを目深に被り、

遠くの月をぼんやりと眺めながら、隣の少女の話に気のない相槌を返している。


その少女はというと。

黒を基調にしたショートドレス。

手には透明なビニール傘を持ち、カラカラと引き摺るように歩き、隣の少年に話し続けていた。


「ねぇ〜さっきのカフェの店員見た?

 全然笑ってなかったんだけど〜。

 あれ、客商売としてどうかと思うわけ!」


少年からの返事はない…。


少女は立ち止まり不満げに頬を膨らませる。


ーそのときだった…ー


向かいから走ってきた見知らぬ男が、少女の肩に激しくぶつかった。


「邪魔なんだよ、クソガキ!!」


男が少女の横を通り過ぎようとした時には、男は腹部を押さえ地面でもがきうずくまっていた。


少女はしゃがみ男の顔を覗き込む。


その瞳は、冷たく、さげすむ様に笑っていた。


「ねぇ……誰がクソガキだって?」

男は唾を垂らしながら苦しそうに身をよじらせる。

少女はゆっくりと立ち上がり、ビニール傘の先を男の頬に当て。


「ねぇ……言うことあるよね?」


傘の先が男の頬をなぞる。

「す、すみません……っ、すみません……!」


「うん、そうだよね〜…。でも――全然足りない…」

少女は微笑みながら言った。


少年はその様子を呆れ顔で見てため息をこぼす。


「ねぇ、私……可愛い?」


「可愛いよね?」


男が口ごもったその瞬間ー

「……答えなさいよ!」

その言葉を聞くと男は少女に背を向け

立ち上がり走り出そうとするが、すぐさま少女の傘の柄に足を捕られ、また床に転がる。


少女は男をまたぎ、喉元にピタリと傘の先が突き立てられた。

「……ほら、言って♡」

男は震え、言葉を発せず、ただただ恐怖に潰されていく。

「たのむ!金ならやるから!」

瞳孔は開き始め必死にせがむ


「おれが悪かったから!な?な?」


「可愛いかって聞いてんだけど…」

少女は男の胸に足を乗せ体重をかける…


「わかった頼むから許してくれ!」

「殺さないでくれ!な?コロサーーーー!」

「残念……時間切れ♡」

少女の傘を持つ手が10cmほど上がったその時


「キャス!! やめろ!!」


少年が初めて声を上げた。

だが、その声も虚しく。

少女の手は振り下ろされ

傘の先が、男の腹部にズブリと突き刺さった。



男の叫び声が、夜の街に響く。



少年はキャスの手を乱暴に掴み、走り出した。


二人の後ろには

腹部に傘が刺さったままの男が

静かに倒れていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ