第八話 違和感
足元が、抜けた。
俺は咄嗟に巻き戻しをしようとしたが、
――これは無意味だと、直感で分かった。
今回も、イエリスは何も言わなかった。
――ボチャン
気づいたときには巨大な湖に落ちていた。
ここは二階層か。
急いで水面から顔を出すと、イエリスは知っていたかのように氷で足場を作っていた。俺はなんとか氷の足場に乗り、あたりを見回した。すると、なにか意味ありげに、湖に花が咲いていた。咲いているというより、誰かに置かれているようにも見える。
氷で足場を作りながら歩いていると、ここもループしていることがわかった。すでに六回目だ。周回を重ねるほど、花の存在が気になってくる。
手前からアネモネ、イカリソウ、ミモザ、ニリンソウ、ヤグルマギク、チューリップ、タイツリソウ、シネラリアと咲いていた。
なぜ、この花が咲いているんだ? しかも、咲いている場所にも意味がありそうだ。
偶然にしては......
この花の位置と、数字が彫られていた木の位置――どう考えても一致している。
すると湖が役目を終えたかのように崩壊し始めた。
またか。気づいたときには落とされていた。
三階層だ。
熱い。早く進まないと熱さで死んでしまいそうだ。ほんとに火の海だ。
ここもループするとしたら厄介だ。
火は横で列になっていてそれが奥に何個も続いている。一定の順番で列ごとに、火がついたり消えたりしているみたいだ。火が消えるタイミングは手前から3、1、4、6、8、5、、2、7、みたいだ。
ダンジョンの階層を進むたびに疑問が増えていくだけだった。これがダンジョンの異変というやつなのか。そう思いながら進んでいった。
ここはイエリスが氷をずっと生成してくれれば後は火が消えたタイミングで進むだけだ。それでも熱さで死にそうだが。
しばらく進んだら普通に四階層へと続く階段が出てきた。今までのループはどこへ行ったんだ?
俺とイエリスは四階層へと足を運んだ。
四階層は、十畳ぐらいの小さめな部屋だった。
五階層に続きそうな扉はしまっている。謎を解けば開くのだろうか。
周りには一つだけ石碑があった。石碑に書いてある文字はこうだ。
イモキケイス
エマイカシア
リゾピドトモ
スヅンヒニホ
フルフメウヤ
ロリハミサオ
スクへユツヨ
トタアケヲガ
なんのことかさっぱりわからない。
ヒントがないかどうかさらに周りを見渡してみた。
石碑の下には大きく「始まりは、」と書いてあった。続きは欠けていて読めない。
更にその下に「全ては繋がっている」と書いてあった。
石碑も“列”で並んでいる…?
森の木も、湖の花も、火の並びも、すべて「配置」で意味を持っていたとしたら……
じゃあ、木に書いてあった数字は何だ?
数字は花と関係があるのか?
分からなかったが、全てがつながる感覚があった。




