第十一話
町中でお手合わせをお願いされた。
このタイミングだと、実力を疑っているのだろう。
めんどくさくて無視してしばらく歩いていたが、あまりにもしつこい。
いい気分を邪魔されて、ついムキになって受けてしまった。
イエリスは、なぜかやる気に満ちていた。
三人で街の広場に向かった。
広場でお手合わせをするのは、ルール上ありらしい。
広場に着き、そろそろ始めようとしたとき、俺を疑っているらしい人たちが周囲に集まってきた。
――絶対に勝って、疑いを晴らしてやる。
俺とイエリスは広場の中央あたりに立つ。
それに続いて、女剣士が反対側に立った。
「スタート」
そう言われる直前、女剣士が口を開いた。
「魔法使いの方は、すみませんが下がってもらえませんか?」
イエリスは突然の不参加に納得がいかなかったのか、魔法をぶっ放そうとした。
さすがにまずいと思い、俺は慌てて止める。
しぶしぶ、イエリスは端へ下がっていった。
「気を取り直して、スタート」
試合が始まった。
女剣士は大きめの剣を持っている。だからスピードは......
心の中でそう言い終わる前に、目の前から消えた。
次の瞬間、剣で刺されていた。
反応できなかった。
「あれ?案外弱い?」という声が女剣士から漏れていた。
「気を取り直して、スタート」
声が、もう一度聞こえた。
女剣士が、さっきと同じ動きで一気に距離を詰めてくる。
知っていたはずなのに、剣が頬をかすった。
想像していた重い剣の動きじゃない。
重さを感じさせない速度だった。
「今の避けたの?」女剣士はとても驚いていた。それほど自身があるのだろう。
民衆は今のが一瞬、過ぎて何が起きているのか分からずざわめいていた。
また来る。
巻き戻しを使えば、なんとか避けられる。だが、それだけだ。
反撃できないまま、少しずつ体力だけが削られていく。
考えられるのは、せいぜい三秒分。
どこかに弱点は……。
攻略方法は、なんだ?




