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人生迷走者  作者: 相川悠介
第三章
36/39

3ー7 「嫌々ながらも」

 ブドウジュースを飲んで一息つく。

 目覚めは、あまりよくなかった。


『クロス君……ありがとね。……友達に、なって……くれ……て……』


 その言葉が頭に浮かぶ。

 友達か。


「これ以上、知り合いを作るのはやめよう」


 そう言っても、できちゃうんだよな。

 親しい関係の存在が亡くなると心に傷ができる。

 今だって傷はある。

 その傷は完全に無くなることはない。


「今日は……街に行こうかな?えー、どうしよう」


 ここにいても、夢を見つけられない。

 あの街で、スタートラインを一歩進んだだけだ。


「絶対面倒ごとに巻き込まれるよなー」


 教会に入り、祈りを捧げる。

 倉庫に入って、『グロック17』を出現させる。

 その他に、ベルトも出現する。


 上半身にベルトをつけて、『グロック17』をホルスターに入れる。

 スーツを羽織って、見えないようにする。

 弾倉は、大丈夫かな。

 あまり使わないと思うからね。

 倉庫から出て、教会に視線を向ける。


「行ってきます。しばらくここを離れます」


 ダーウィンさんに言う。

 聞こえてないと思うけど、一応ね。


 持ち物は、リュックと『コンバットナイフ』、『グロック17』。

 リュックの中は、お金とメモ帳だけ。

 教会から出て、街へ向かう。


 街への距離は徒歩だと遠くて疲れるだろうけど、体力には自信はあるし、大丈夫でしょ。

 そんなことを思いながら歩いている。

 今のところ疲れは感じない。

 馬車だと窓からしか見えなくて、景色があまり見えなかったが、歩いているとしっかり見える。


「歩きも悪くないね」


 数分後。

 後ろから物音が聞こえる。

 振り返ると馬車が移動している。

 少し横にずれるか。

 馬車が通り過ぎると思ったが、馬は歩くスピードを緩めて、俺に近づいて擦り寄ってきた。

 なんでー?


「おうう?どうしたの?」


 馬の頭を撫でる。


「ええ?あんた、やめてくれないか。急いでるんだ」


 御者が困ったように言う。


「す、すみません。今、離れます」


 馬から離れるが、俺に近づいてくる。

 勘弁してくれよ。

 嬉しいけどさ。


「おいおい。しっかりしてくれ」


 御者を見ると、冷や汗をかいている。

 そこまで急いでいるのか。

 それとも馬車にお偉いさんが乗ってる?


「街に行くんですか?」


「ああ、そうだが……」


 試すか。

 両脚に力を入れて街に向かって走り出す。


「うわあ!」


 声が聞こえて、後ろを振り返ると馬が走ってきた。

 馬に追いかけられることがあるなんてな。

 このまま、街まで走るか。


     ◇


 数分後。

 門に着き、2人の門番に取り調べを行われている。

 馬は疲れることなく最後までついてきた。

 御者は息が上がっている。


「歩きで来たのか?」


「はい、そんなに苦じゃなかったですよ」


「すげえな」


 1人の門番とそんな会話をしていると、リュックの中身を確認していた門番が来た。


「金とメモ帳。それとナイフ。……問題なし。よし、入っていいぞ」


「ありがとうございます」


 2人に会釈をして、街に入る。

 なんか前来たときより、人多いな。

 何かあったのかな?


「魔族が入ったんだって!」

「嘘!?怖いわね〜」

「門番が殺されたらしいぜ」

「マジで?」


 昨日のことが街に知れ渡っている。

 誤りがあるけど。

 フィンさんが情報を流したのかな?

 話をするって約束したから、そのときに本当に起こったことを話せばいいか。


「冒険者が多い」


 ローブ姿の人や鎧を纏っている人がいる。

 楽しそうに話してる。

 内容が気になるけど、盗聴は趣味じゃないからね。


 さて、宿屋を見つけよう。

 いい宿屋があるか聞いてみるか。

 そう行動しようとしたけど、できない。

 陰キャの能力、コミュ障が発動してしまう。

 自分で探すか?いや、無理だ。


「あ、あの」


「へい!な、なんでしょうか……ララちゃん?」


 後ろから声をかけられてびっくりした。

 ララちゃんも驚いたらしく、目を丸くしている。

 手には袋を持っている。


「ごめん。驚かせちゃって」


「だ、大丈夫です。えっと、ヤミネスさんと一緒じゃないんですね」


「それがねー……」


 どんな誤魔化し方がいいんだ?

 この世から消えたはダメ。

 殺されたもダメ。

 そうだ!

 この言葉の意味はまだ知らないはず。


「クロスさん?」


「リインカーネーション」


「リインカーネーション……?」


 首を傾げている。

 よし、分かってないな。

 輪廻転生を英語に変換した。

 知っておいてよかった。


「そうそう。それより、ララちゃん。俺に何か?」


「その……悩んで、いた、ようなので……」


 助かるよ〜。

 悩んでいただけなのに、話しかけてくれてありがたい。

 俺だったら、無視してたかも。

 自分で言ってて最悪な性格だな。


「宿屋を探してたんだけど、見つからなくてね」


「そ、その前にカフェに行きま、せんか?ママやパパが教えて、くれる、と思うので……」


 それいい考えだね。


「分かった」


「じゃ、じゃあ、行きましょう」


 ララちゃんについて行く。

 周りの視線が痛いんだけど。

 なんだよ?

 女の子と歩いてるだけじゃん!

 聴覚を鋭くするか。


「怪しくない?」

「そうかな?」

「止めたほうがいいんじゃない?」

「ストーカー?」


 ひっどいな。

 兄妹という可能性を考えようよ。

 全然特徴違うけどさ、あるかもしれないじゃん!

 そんなに俺の見た目、変質者っぽいかな?


 服装はジェノさんに近い。

 ワイシャツはズボンから出ていて、ボタンは留めてない。

 だらしないと思われるけど、これがいいんだよね。


「着きました」


 ララちゃんと一緒にカフェに入る。

 客が多い。

 空いてる席あるかな。

 見渡していると、ララちゃんのお母さんが来た。


「あらあら、来てくれたのね。ララ、おつかいありがとう。助かったわ」


「どういたしまして。えへへ」


 持っていた袋をララちゃんのお母さんに渡す。

 ララちゃんは頭を撫でられていて、ご満悦の様子。


「席は空いてるわ。案内するね」


「ありがとうございます」


 ついて行き、テーブルの椅子に座る。

 リュックを窓際に置く。


「よいしょ」


 ララちゃんが隣に座ってきた。

 奢らさせられる感じ?


「ララ、お客さんを困らせちゃダメよ?」


「私もお客さんだもん」


 ララちゃんは、かわいらしく頬を膨らませている。


「大丈夫ですよ。お金は出します」


「ごめんなさいね。ララ、あまり高いものを選んじゃダメだからね?」


「はーい」


 ララちゃんのお母さんは、袋を持って厨房に入って行った。

 メニュー表を取って、ララちゃんの前に差し出す。


「先に選んでいいよ」


「ありがとうございます」


 カフェだと人見知りが発動しないのか?

 親がいるからかな。


「これにします」


 指を差していたのは、イチゴミルク。

 俺もそれにしようかな。

 値段は安いのか知らんけど。

 呼び鈴を鳴らす。

 すると、ララちゃんのお母さんが来た。


「ご注文は?」


「イチゴミルクを二つ」


「はい。少しお待ちください」


 メニュー表を戻して、頬杖をつく。


「クロスさん」


「何かな?」


「さっき言ってた、リインカーネーション?はどんな意味なのですか?」


 気になるよなー。

 本当のことを言うべきか?

 いつかは、ヤミネスさんが亡くなったことを知るかもしれないから。


「輪廻転生」


「りんねてんせい……?」


「お母さんに聞いてみたら?分かるはずだよ」


「分かりました」


 その後、ララちゃんのお母さんが持ってきたイチゴミルクを飲んだ。

 めっちゃ美味かった。


「ごちそうさまでした。会計の前に聞きたいことがあるんですが……」


「何かしら?」


「ここら辺に宿屋ってありますか?」


 ララちゃんのお母さんは、顎に手を当てて考えている。


「近くに『安楽』って宿屋があるわ。そこまで高くなかった気がする」


「ありがとうございます」


 銀貨2枚を渡して、ララちゃんに手を振って、カフェから出た。

 街を歩いて宿屋を探す。


「『安楽』……『安楽』……あった」


 建物の看板に『安楽』と書かれている。

 中に入ろう。


「いらっしゃいませ」


 結構広く、清潔感がある。


「2泊3日で」


「分かりました。金貨一枚でございます」


 職員に金貨一枚を渡す。


「こちらの番号がお客様のお部屋でございます」


 鍵と札を受け取る。


「ありがとうございます」


 二階の202号室。

 階段を上って、すぐ右にあった。

 鍵を使って開けて中に入る。


「いいね〜」


 まあまあ広い。

 テーブルにリュックを置いて、ベッドに座る。

 これから、どこに行こうかな。

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