3ー1 「1人暮らし」
ヤミネスさんが亡くなってから1日後。
ベッドから起き上がり、自室に入って着替える。
朝食は気分じゃないかな。食べなくていいや。
家は俺だけで静かだ。
若干寂しさを感じながら、タオルを持って、教会に入る。
「掃除するか」
2人で掃除をしていたが、1人になり、掃除が大変になってくる。
掃除好きだから、嫌ってわけじゃないけどね。
長椅子から拭き始める。
たくさんあるから時間かかるな。
ここには、俺1人しかいないのに、なんでこんなにあるのか不思議だ。
結婚式を挙げるわけじゃないし、そもそも、誰か来るって言ったら、人じゃなくて魔族だからな。
ここって、あんまり知られてないのかな?
「案外、早く終わった」
長椅子にタオルを置いて、十字架を掴み、祈りを捧げる。
信者は増やさなくていいか。
ヤミネスさんの十字架を誰かに渡したくない。
あれはヤミネスさんの物だからね。
「射撃しに行くか」
気晴らしに銃でも撃つか。
タオルを持って、教会から出る。
倉庫の扉を開けて、タオルはテーブルの隅に置いて、テーブルにあるペンを持ち、白紙を見て考える。
「思えば、『グロック17』しか使ってなかった。他の銃にしよう。そうだな……スナイパーライフルにしよう」
スナイパーライフルだと、『M40A3』。
あとは、『L96A1』かな。
『M40A3』から撃ってみるか。
白紙に書くと、箱は消失し、『M40A3』が出現した。
あの大きさだからね。
箱が消えるのは仕方ない。
『M40A3』
装弾数5。
口径7.62mm。
銃身長610mm。
作動方式ボルトアクション。
全長1124mm。
重量7500g。
銃口初速770m/s〜800m/s。
有効射程800〜1000m以上。
空欄に丸を書くと、空間が荒野に変わり、的が約800メートルぐらいにある。
『グロック17』のときと違う風景だ。
それにしても遠いな。
視覚を鋭くすると、的がはっきりと見える。
スコープなしでも、いけそうだけど、失明するかもしれないからやめておこう。
持ってみると少し重い。
普通の人なら、めっちゃ重いって感じるだろうけど、俺の体、普通じゃないからな。
早速、試し撃ちするか。
銃に付いているバイポッドを地面に固定して、体を伏せて、スコープを覗く。
「すう……ふう……」
深呼吸をして、引き金を引く。
バンッ、と銃声が鳴り、銃弾は的の胴体に命中。
ボルトハンドルを掴み、手首と腕の力で跳ね上げる。
そのままハンドルを離さずにボルトを後ろに引くと、薬莢が出てきて、ボルトを前に出し、押し下げる。
「狙いは頭部」
スコープを覗き、引き金を引くと、銃弾は頭部に命中。
あれ、ヘッドショットできちゃった。
残りの3発もヘッドショット狙い。
その3発も頭部に命中した。
立ち上がって、目を閉じて、目頭を掴む。
もう疲れた。
飽きたわけじゃないんだ。
スナイパーライフルの反動が強くてね。
『M40A3』を持って、テーブルに置き、白紙の空欄にバツを書くと、『M40A3』は消えて、箱が出現した。
「空間が戻らない。まあいいや」
白紙に『L96A1』を書くと、また箱が消失。
『L96A1』が出現した。
『L96A1』
装弾数10。
口径7.62mm。
銃身長660mm。
作動方式ボルトアクション。
全長1180mm。
重量6500g。
銃口初速850m/s。
有効射程800m。
『L96A1』を持って、さっきのように銃を構える。
スコープを覗くと、的は元通りになっていた。
これはありがたい。
1発目からヘッドショットできるかな?
スコープを覗き、引き金を引く。
銃弾は頭部に命中した。
おお、マジでしちゃったよ。
残りの9発もヘッドショットするか。
撃ち続けた結果、全弾ヘッドショットした。
「疲れた〜」
銃を持って立ち上がり、テーブルに置いて、空欄にバツを書くと『L96A1』は消え、箱が出現する。
そして、空間も元通りになる。
荒野だったのが、色が消えていくように真っ白になった。
俺の思い通りになるような仕組みかな?
「ふい〜、休憩しよ」
タオルを持って、倉庫から出る。
『M40A3』か『L96A1』のどっちが使いやすかったかというと『L96A1』かな。
装弾数が多いし、銃口初速が速い。
どっちもボルトアクションで装填するのが面倒だけど、やっぱり『L96A1』かな。
他にも、銃の種類でアサルトライフルとかショットガン、銃じゃないけど、爆弾とかも試してみたいな。
射撃は趣味だから、外で銃を使うことは、多分ないかもね。
まあ、冒険者になったから、もしかしたら使うかな?
『コンバットナイフ』と血液操作、身体能力で十分な気がするけど。
時と場合によるか。
家に入り、タオルをカゴに入れて、リビングへ入り、冷蔵庫を開けて、ブドウジュースを取り出す。
コップにブドウジュースを入れて、一気飲みする。
キンキンに冷えていて最高。
もう一度、飲もうと思い、注ごうとしたが、扉を叩く音が聞こえる。
「……誰だ?」
鼓動音は一つ。
カイラムさんかチェイさんのどっちかだな。
ジェノさんは休み中だから、ありえないね。
玄関の扉を開ける。
「は〜い。……あれ?」
ジェノさんがいた。
おかしいな。
「……久しぶりだな。元気か?」
なんだかぎこちない。
何かあったのかな?
「少し……?ですかね。休みじゃないんですか?部下に心配されますよ」
「止められはしたが、俺は幹部だからな。いつまでも休むわけにはいかない。疲れは完全にではないが、少しは楽になった」
幹部だからって無理する必要はないと思うけど。
本人が言ってるんだから、口出しはダメだね。
「どうしてここに?」
「……ヤミネスが亡くなったらしいな」
「なんで……あー、はい。そうです」
カイラムさんが報告したのか。
別に言わなくてもよかったのに。
「大丈夫か?」
心配してくれるだけでありがたい。
本当に優しいな。
「ヤミネスさんが亡くなったのは悲しいです。でも、誰かのおかげで立ち直れたんです。それに俺は、1人ぼっちになったわけじゃないんですよ?ジェノさんやカイラムさん、それにその誰かがいますから」
十字架を持って笑う。
笑うこと滅多にないから、どんな顔になってるか分かんないな。
「そう、だな。その通りだ。俺たちがいる」
「ですよ。闇堕ちとか人間不信になんてなりません」
「その発言が不穏なのだが……」
「そうですか?まあ、大丈夫なんで。ジェノさんは、今するべきことをしたらいいのでは?俺なんかに構ってないで。いつ、『勇者』が襲撃してくるか分からないんですから」
「『勇者』か……『魔王』様は戦いを嫌っているのだがな。困ったものだ」
それを聞くと、正義が『魔王』で悪が『勇者』みたいな感じになるな。
前世で読んでいた小説や漫画などでは、『勇者』が正義で悪が『魔王』だったからな。
この世界だと逆になるのか?
そういえば、ジェノさん、仕事はどうしたんだろう?
ここに来るってことは休み?
「今日は休みなんですか?」
「ああ、『魔王』様に『無理のない範囲で行動しろ』と言われてな。『働きすぎ』や『真面目すぎ』なんてことも言われた」
それは『魔王』に同感かな。
他の幹部や部下にも、そう思われてるんじゃないか?
「『魔王』……様の言う通りだと思いますよ。8年間、休むことなく働くなんて、よく倒れなかったですね」
「お前もそう思うか……」
「失礼でしたか?」
「いや、そんなことはない」
首を横に振るジェノさん。
話は終わったことだし、何しようかな。
これから、何もやることないんだよな。
夢探しはしたいけど、20歳になってからでいいかな。
不老不死で夢探し。いいじゃん。
「じゃあ、俺は二度寝しますので……」
「待ってくれ」
家に向かおうとしたときに呼び止められる。
「なんでしょうか?」
「嫌じゃなければ、クナリ村に来てくれるか?」
出身地だったクナリ村か。
倉庫で射撃はもういいから、暇つぶしに行こうかな。
「分かりました。どんな風になってるのか気になります」
「では、行こうか」
銃について、間違いがあったら指摘をお願いします。




