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人生迷走者  作者: 相川悠介
第ニ章
16/21

2ー3 「ラバウクという街へ」

 教会でヤミネスさんと一緒に祈りを捧げる。

 ダーウィンさんの恩恵は、少しの幸運だ。

 夢探しに役立つか分からないけどね。

 ダメだ。そんな風に思ったら、ダーウィンさんに失礼だな。


「外でカイラムさんを待つか。ヤミネスさんはどうする?」


「掃除をしています。カイラムさんが来たら、お呼びください」


「分かった」


 教会から出て、倉庫に向かう。

 倉庫に入り、紙に『コンバットナイフ』と書く。

 箱にベルトと『コンバットナイフ』が出現する。

 ベルト付きだ。ラッキー。


 『コンバットナイフ』の刀身は黒い。

 白銀じゃないんだ。別にいいけど。

 ベルトを身につけて、『コンバットナイフ』をベルトの鞘に納める。

 ベルトのサイズはちょうどいいね。


 倉庫から出て、カイラムさんが来るのを待つ。

 『コンバットナイフ』を見ていると、鼓動音が聞こえる。

 遠くから手を振って歩いてくるカイラムさんだ。

 表情は明るい。そんなに楽しみだったのかな。


「やあやあ。物騒な物持って、どうしたんだい?」


「すみません。街がどんな場所か分からなくてですね。一応です」


 前世で読んだ小説だと、大体の街は治安が悪かった。


「なるほど。そんな悪くないよ?多分!」


 カイラムさんの視線は『コンバットナイフ』に向いている。

 気になったか。


「ヤミネスさん呼んでくるんで、これ持ってていいですよ。壊さないでくださいね」


「了解りょうかーい!」


 不安になりながらも『コンバットナイフ』を渡して、教会へ向かう。

 教会の扉を叩く。


「ヤミネスさん。カイラムさんが来ました」


 扉越しに言う。

 扉が開いて、リュックを背負ったヤミネスさんが出てきた。

 街に行くから教会の長椅子に置いていた。


「リュック背負うよ」


 そう言うが、ヤミネスさんは首を横に振り、「大丈夫です」と言った。

 帰りは俺が背負えばいいか。

 物珍しそうに『コンバットナイフ』を見ているカイラムさんに近づく。


「それ、そんなに珍しいですか?普通のナイフと変わりないと思いますよ」


「なーんか、不思議に思ってねー。ほい」


 『コンバットナイフ』を返してもらい、鞘に納める。

 この世界にない物質で作られていると思っているのかな?

 そんなことはないと思うけどな。


()()はいいのですか?」


「あれ……あー、大丈夫大丈夫。これだけで十分」


 あれというのは、銃のことだな。

 エイムはよくなってるし、反動に慣れてきたけど、実戦で当てられないかもしれない。

 的だったから当たったんだ。


「なになに?なんの話?あれって?」


 銃の存在は、まだ隠しておこう。

 適当に答えるか。


「あれはあれです」


「えー、教えてよ〜」


     ◇


 ガタガタ、と音を立てている。

 今は馬車の中。意外と広い。


「いいかい?絶対に僕の正体は言わないようにしてくれ」


 真剣なカイラムさんに、俺とヤミネスさんは頷く。


 馬車に乗るまでの道中――


「いいじゃん!僕たち、友達だろう?」


「友達でも言いたくないことはあるんですよ」


「もう!ヤミネスちゃん、あれって?」


「えっと……その……」


 カイラムさんの質問攻めにあっていた俺とヤミネスさん。

 ヤミネスさんは、こういうの苦手だろうな。

 だって、俯いちゃってるもん。


 何か話題になりそうなのを考えないと。

 カイラムさんの耳を見ると、少し尖っていた。


「耳尖ってるんですね」


「え?ああ、そうなんだよ。魔族は耳が少し尖ってるんだ。僕は『変化』っていう魔法で耳を人間と同じ形にして、街に行って、情報収集してる。バレたら殺されちゃうよ」


 話題逸らし成功。

 魔族って分かるのは、耳の形か。難しくない?


「大変ですね。でも、魔族だってことが、一目で分かるものなんですか?耳を見ないとダメじゃないですか」


「それが分かっちゃうんだよ」


 やれやれという風に首を横に振るカイラムさん。

 いーや、全然分からない。分かる人すごいな。


「あの、街までは歩いて行くのですか?」


 ヤミネスさんが、カイラムさんに恐る恐る聞く。

 たしかに、ずっと歩いてる。

 俺は平気だけど、ヤミネスさんは少し疲れてる。


「馬車だよ。歩きだと疲れるからね」


 馬車での移動距離か。遠いじゃん。


「見当たらないですけど?それに、ここ森じゃないですか」


 また迷子は嫌だな。


「僕たちの場所を通らないようにしてるから、遠回りしてるんだ。先に言っておけばよかったね。ごめん」


「……それって」


「君の思っている通りだよ〜」


 クナリ村は魔族の居場所になった。

 そこには、魔族がたくさんいる。

 おそらく、そこを通れば今はもう着いていたかもしれない。

 俺とヤミネスさんの存在を魔族たちに知らせないためか?


「……やはり、魔族は人間が嫌いなのですか?」


 ヤミネスさんが聞く。


「僕はそう思わない。でも、他のみんなはどうなんだろう?」


 それぞれってところか。

 人間嫌いは絶対いそう。てか、いるでしょ。


「君たちは、魔族のことは嫌いかな?」


 カイラムさんが聞いてくる。


「さあ?どうなんでしょう?」


「ワタシも分からないです。すみません」


 俺もヤミネスさんもジェノさんとカイラムさん以外の魔族と会ったことがない。

 だから、好きでもないし、嫌いでもない。


「そっか。まあ、これからだからね。できれば、嫌いにならないでほしいな」


 そんな会話をしていると、馬車が見えてきた。


「これが馬車……おー……」


 馬車に近づくと、馬が擦り寄ってきた。

 どうしたんだ?


「動物に好かれやすい体質なのかもな」


 近くにいた男性が馬を撫でて言う。御者かな?


「あ、どうも。クロスです」


「おう。そっちの美人さんは?恋人かい?」


「え?あ、えーっと……」


 ヤミネスさんは顔を赤くして俯く。

 少し恥ずかしいな。

 御者は「すまねえ」と言いながら、笑う。


「チェイさん、からかうのは程々にしてくださいね」


 カイラムさんは、ため息をして、チェイさんに小さな袋を渡す。


「へいへい。んで、今日も情報収集かい?」


「いや、休みです。今日は、この二人に街を案内してあげようと思って」


 チェイさんは、驚いた表情を浮かべる。


「ほほー、そうかいそうかい。……できるの?」


「できますよ。……二人とも、馬車に乗ろう」


 その前に確認しておかないといけないね。


「チェイさんは、魔族なんですか?」


「ああ、魔族だ。分からなかったか?」


「はい……」


 チェイさんの耳は、人間と同じ形をしている。


「チェイさん、耳」


 カイラムさんが耳を指差す。

 チェイさんは耳を触ると、「あー、これじゃ、分かんねえわな」と言い、申し訳なさそうな表情を浮かべる。


「チェイさんも僕と同じ、変化っていう魔法が使えるんだ。ほら」


 カイラムさんが耳を触ると、形が変わっていく。

 尖りがなくなり、人間の耳に変わっている。


「これを使って、街で情報収集してるんだ」


「すごいですね。それで仕事何年してるんですか?」


「うーん……分からないや。さ、早く早く」


 ここまでが馬車に乗る前の道中――


 ヤミネスさんは、窓から外を見ている。

 見たことのない景色に感動してるのかな?


「俺のことも秘密にしてくれなー」


 チェイさんの声が聞こえてくる。

 言わないから安心してくれ。


「なんで、そんな服装なんですか?」


 カイラムさんの服装は、昨日来たときと同じでボロボロだ。

 ファッションセンス皆無な俺が言うことじゃないと思うけど。


「僕のお気に入りだからだよ。服装のことは、あまり興味ないんだ」


「みんなからは何か言われないんですか?」


「変えたほうがいいんじゃないかって言われてる。でも、そんな気はないよ」


 強い意思を感じた。それほど気に入ってるのか。


「すみません。変なこと言って」


「気にしなくていいよ」


 そんな会話をしていると、馬車が止まった。

 なんだ?事故?


「混んでるだけだ。安心してくれ」


 不安を取り除くようにチェイさんが言う。

 なーんだ。よかった。


「そうだ!あれって何?教えてよ!」


 マジか。まだ、その話題が出てくるとは思わなかった。

 しょうがない。


「あれっていうのは……」


 銃、と言おうとした瞬間、地面が揺れる。


「地震……?」


 カイラムさんが言う。


「……何か来てます」


 ずっと外を見ていたヤミネスさんが言う。

 どうやら違うらしい。


「三人とも、降りて!」


 チェイさんが扉を開ける。

 馬車を降りると、外には、緑色の巨大な化け物がいた。

 前世で何回も異世界系アニメを見ていると分かる。


「ゴブリン!?なんでここに……」


 カイラムさんが驚いて、化け物の名前を言う。

 だよね。やっぱりゴブリンか。

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