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暁の祈願、迫る鎖

船の甲板、ルイフェルは見張りをしていた。


ルイフェル

「しかし、この霧晴れないな、あいつの能力の一つか?」


ひめな

「そう、油断は禁物」


アーシアは、船室の扉をそっと開けて甲板に出てきた。


アーシア(小さな木皿を差し出しながら)

「ルイフェル様、見張りご苦労様です。……夜食のスープをどうぞ」


ルイフェル(受け取り、少し笑みを浮かべて)

「ありがとう、アーシア。……あの子はどうした?」


アーシア(少しうつむきながら)

「リーザちゃんは泣き疲れて……今は船室で眠っています。お父さんのことがあったから……心労で、きっと」


ルイフェル(顔を伏せ、低く)

「そうか……可哀想にな。……アーシアは、大丈夫か?」


アーシア(複雑な顔をのぞかせて、拳を握りしめる)

「はい。大丈夫です。リーザちゃんを思うと胸が張り裂けそうですが……私が頑張らないと、って思いました」


ルイフェル(頬を赤らめ、ぼそっと)

「……そういうとこ、好きだ」


アーシア(隣に腰を下ろし、にっこりしながら)

「えっ? 聞こえません。ちゃんと言ってください」


ルイフェル(視線を逸らして)

「……おまえ、聞こえただろ」


アーシア(むっとして)

「聞こえてません! ちゃんと!」


ルイフェル(声を張り上げて)

「だ、だから聞いただろ!」


ひめな(槍の形に戻りながら、鋭く)

「二人ともうるさい! 皆寝てる!」


ルイフェル&アーシア(ハモって)

「はい……すみません」


甲板には波の音と、時折きしむ船体の音だけが響いていた。

ルイフェルは持ってきてもらったスープをとっくに飲み干していたが、隣で寄り添う若き聖女が眠りについたことに気づき、動けずにいた。


アーシアはルイフェルの肩にもたれ、安らかな寝息を立てている。月明かりに照らされたその横顔は、疲れを隠しきれないものの、どこか無垢な微笑を浮かべていた。


ルイフェル(小さく息をのんで、囁くように)

「……なんだよ。……ほんと、可愛いじゃねぇか」


ふと伸ばした指先が、アーシアの髪の一房をそっとすくう。

彼女が目を覚ますのではないかと一瞬ひやりとしたが、アーシアはただ小さく寝返りを打ち、さらにルイフェルに寄りかかってきた。


ルイフェル(頬を赤らめて、視線を逸らしながら)

「お、おい……そんなに無防備にされると……困るだろ……」


しかし、その声は彼女の夢の中には届かず。

ルイフェルは肩をすくめ、少し不器用に笑いながら、アーシアの頭が落ちないよう腕を回して支えた。


ルイフェル(心の中で)

「……しばらくは、このままでいいか」


そう思った矢先――。

闇夜の海は底知れぬ黒に沈み、波音すらどこか不吉に響いていた。

霧の向こうから、得体の知れぬ重圧が押し寄せ、船全体を軋ませる。

それは、まだ姿を見せぬ“何か”がこちらを見ているかのようだった。


朝の甲板 ―

海面に朝日が反射し、昨夜の不気味な霧が嘘のように晴れていく。


ルイフェル(目を擦りながら、隣で眠るアーシアに気づき)

「……あっ、寝てしまったか?」


ひめな(腕を組んで睨みながら)

「寝るな!」


ルイフェル(苦笑して、ぐっすり眠るアーシアを見つめ)

「すまない。……つい」


ひめな(ジト目で)

「デレっとするな!」


(そこへ、船室の扉がギィと開き、ミャーリが顔を出す)


ミャーリ(真剣な顔で)

「ルイフェル! リーザちゃんに、ルイフェル達のことを話したら……ルイフェルに会いたいって。まだ動ける状態じゃないから、来てほしいにゃ」


ルイフェル(アーシアの寝顔を一度見てから、小声で)

「わかったよ。……アーシア、少しだけ待ってて」


(アーシアの頭をそっと外套で支え、慎重に立ち上がった)



ー港町・避難所付近


テイト(汗を拭いながら)

「……何とか港町の人々を避難させたな」


サスケ(落ち着いた様子で一礼)

「ご苦労様です」


テイト(険しい表情で空を仰ぎ)

「……本来なら、エルフィナ様を船に乗せないようにと王様に命じられて来たのだが……まさか、こんなことになるとは。エルフィナ様達は大丈夫だろうか?」


サスケ(口元に薄笑いを浮かべて)

「あの方々なら大丈夫ですよ。生命力だけは、黒光りする虫みたいにしぶといですし」


テイト(顔をしかめて頭を抱え)

「……無茶苦茶言うな……相手は王族だぞ〜」


船室 ― 静かな祈り


船室に戻ると、リーザはすでにベッドから起き上がり、床に正座していた。

その小さな背中は震え、決意に染まっている。


ルイフェル(戸惑いながら)

「ど、どうしたんだ……?」


次の瞬間、リーザは頭を床に伏せ、祈るように声を上げた。


リーザ(必死に)

「お願いです! 悪魔を倒して……お父さんを解放してあげてください……どうかお願いします!」


ルイフェルは思わず彼女の腕を掴み、顔を上げさせた。


ルイフェル(真剣に、強い口調で)

「こんなことしなくてもいい! やめるんだ!……わかってる、わかってるから!

我に任せろ……お前はゆっくりベッドで休んでいろ! お父さんのことは――必ず我が助ける!!」


リーザ(涙を拭いながら、震える声で)

「……ありがとうございます。今はお礼できないけど……大きくなったら、必ず……必ずします!」


ミャーリ(そっと寄り添い、背をさすりながら)

「リーザちゃん、今はゆっくりベッドに入るにゃ……。ルイフェル、お願いにゃ」


ルイフェル(力強くうなずき)

「ああ、任せろ! 必ず……な!!」


その瞬間、船全体が大きく揺れた。

甲板からは怒涛の波音と叫びが響き渡る。


――ゴゴゴゴゴ……


ひめな(念話で冷静に告げる)

「……来たぞ」


ルイフェル(目を細め、力強く)

「わかった!!!」



つづく

【外部サイトにも掲載中!】


イラストはこちら(Pixiv)


https://www.pixiv.net/artworks/132898854


アルファポリスにて画像付きで作品を公開しています。

ご興味ある方はぜひこちらもどうぞ!


▼アルファポリス版はこちら

https://www.alphapolis.co.jp/novel/731651129/267980191

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