囚われの誓い
港の端、ティナ=カク達が連れて行かれた場所を探して歩くエルフィナ。
しかし、心は焦りで乱れていた。
エルフィナ(心の声・唇を噛みしめながら)
「……場所がわかりません。いったい、どこに……」
その時、遠くから声が響いた。
メイ=スケ(手を振りながら)
「姫様〜!」
(白馬にまたがったトライヤ近衛兵団大隊長・テイトの背に乗って、メイ=スケが姿を現す)
テイトはメイ=スケを軽々と馬から下ろすと、そのまま兵士達と共に町中へ散り、聞き込みに向かって行った。
メイ=スケ(肩をすくめながら)
「宿でミャーリちゃんに聞いたら、ルイフェル様達は買い物だとかぁ〜。で、ノームさんとひめなさんは空の散歩だとか〜……やばやばです、ティナ=カク探せません!」
エルフィナ(胸に手を当て、小さく頷く)
「そうですか……でも、ルイフェル様達を巻き込みたくはなかったので……これでよかったのかもしれませんね。……前向きに考えましょう。わたくしたちで、なんとか見つけましょう」
(だが、その表情には明らかな疲労の色が浮かんでいた)
メイ=スケ(小声で唇を尖らせて)
「……クソ! 心配させるなよ〜エルフィナ様に!」
(そしてふと思いついたように)
メイ=スケ
「あっ! メネシス様達に頼んでみては? すぐに見つかります!!」
エルフィナ(かぶりを振って、真剣な表情で)
「メネシス様達は、魔界に大きな計画があるとかで、今日は留守ですわ。……メイ=スケ、聞いてなかったの?」
メイ=スケ(頭をかきながら)
「あー……そうでした〜! ……ティナ=カク、あいつ〜運なさすぎだよー」
――その瞬間。
ゴゴゴゴ……!
重苦しい音と共に、二人の間の地面に禍々しい魔法陣が浮かび上がった。
黒い羽音を立てて、一匹のカラスがそこから現れ、口に一通の手紙をくわえている。
エルフィナ(目を細めて手を伸ばそうとする)
「……これは……」
メイ=スケ(慌ててエルフィナの前に飛び出す)
「だ、ダメです! 危ないです! ここは私が!」
(恐る恐る、カラスから手紙を受け取るメイ=スケ。その瞬間、カラスの体はドロドロと黒い液体へと崩れ落ち、魔法陣ごと消滅した)
エルフィナ(唇を引き結びながら)
「……恐らく、犯人からでしょうね」
メイ=スケ(震える声でカタコト気味に)
「わ、わたしが開けます。です……はい」
エルフィナ(小さく微笑んで)
「無理しなくてもいいのよ。こういうのはティナ=カクの方が、度胸がありましたわね……ふふっ。……渡して。わたくしが開けます」
メイ=スケ(しょんぼり渡しながら)
「ご、ごめんなさい……」
(エルフィナが手紙を開く。次の瞬間、瞳が大きく見開かれ、体が小刻みに震える)
エルフィナ(手紙を握り潰し、吐息を荒げて)
「……っ……!」
(深く一つ息を吐いた後、瞳が鋭く輝く。周囲の空気が揺らぎ、地面の石がふわりと浮かび上がる)
エルフィナ(声が男口調に変わり)
「上等だ……やろうじゃないか! 潰してやるよ!!」
(彼女の全身から放たれる魔力が爆発的に光を放ち、周囲を震わせる)
メイ=スケ(お腹を押さえながら、青ざめてつぶやく)
「や、やばい……エルフィナ様が……男口調モードに……。こりゃ〜相手、全身の骨……折られるかも……」
暗く湿った牢の中。
ナリアは牢に放り込まれるなり気を失い、石床に横たわっていた。
ティナ=カク(必死に呼びかけながら)
「ナリア……! ナリア……! しっかりしてくれ……!」
(その声にナリアがゆっくりと瞼を開ける)
ナリア(かすれ声で)
「わ、わたし……」
ティナ=カク(座り込んだまま、ナリアを抱きかかえ)
「ナリア! 話せるかい? 大丈夫かい!?」
ナリア(静かに首を振り、小さく笑って)
「……もう、大丈夫です」
ティナ=カク(堪えきれず、強く抱きしめる)
「……よかった……よかった……! 君が目を覚まさないかと……心配で……」
(その温もりに、ナリアの心の痛みがすっと溶けていく)
ナリア(虚ろな瞳で、そっと笑い)
「……もう大丈夫ですから。……でも、抱きしめたら、私の体重がカク様にのしかかって……重たいですよ?」
ティナ=カク(顔を真っ赤にしながら首を振る)
「重たくなんてない! もう……離したくない。君が……君が……好、好……」
ナリア(頬を染めて、息をのむ)
「……好、好?」
(言葉が続かない二人。牢に一瞬の静寂が流れる)
――その空気を切り裂くように、看守の笑い声が響いた。
盗賊看守(鉄格子を叩きながら)
「またか! おまえ達! イチャイチャしてんじゃねぇよ! 早く出ろ!」
(ニヤリと笑いながら)
「――エルフィナが待ち合わせに来てるってよ! しかも言われた通り、一人でな! おまえの主人はよぉ、頭が足りねぇんじゃねぇのかぁ?」
ティナ=カク(睨みつけ、低く)
「……今だけだ。笑っていられるのは……」
盗賊看守(鼻で笑って)
「ほざけ!」
(牢の扉が開かれ、縄で縛られたティナ=カクとナリアは乱暴に引き立てられていく。その眼差しには、怒りと決意の炎が宿っていた)
――つづく
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