表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/148

お留守番と小さな訪問者

アーシア達の泊まっているトライヤの宿。

夜、留守番組はリビングに集まっていた。



ひめな「今日はルイフェル達、バード公爵邸に泊まるらしい。念話で知らせが来た」


ミャーリ「え〜!いいなぁ〜! 美味しいご飯食べたかったにゃ〜!」


ノーム『生きた杖、』(ふわふわ浮かびながら)「久しぶりの出番じゃが……今日は活躍なさそうじゃの〜」

(しょんぼり)


ひめな(ノームを見て微笑む)「じーじは歳なんだから、私に任せる!」


ノーム「ほほほ、そうじゃなぁ……ひめな、また将棋でもするか?」


ひめな「じーじ、弱い」


ノーム「……手厳しいのう」



ガチャリ。宿の扉が開き、天使ちゃんが帰って来た。


天使ちゃん「ただいまですぅ〜! 今日ね、大神官様からお小遣いもらったんだぁ!!」


ノーム「それは良かったのぉ〜」


ひめな(眉をひそめて)「お小遣い? なぜ? アーシアが大神官には注意しろって言ってた。……何かされた?」


天使ちゃん(首をかしげて上を見ながら)「う〜ん……サイン会とか、グッズ出そうって言われたかなぁ? とても良いことだって、大神官様ニコニコして言ってたんです〜」


ノーム「それは……ギャラじゃ! お小遣いじゃなくて“先払いのギャラ”じゃぞ!!」


ミャーリ「わたしも言われたにゃ〜! “サイン会するにゃ”って!」


ノーム(ぷんぷん怒りながら)「こりゃ〜注意しに行かねば!! 悪魔の魔道具の力、見せてやる!!」


天使ちゃん「え〜! だめです〜!そんなことしたら〜」


ひめな(槍に半分変幻して)「純粋むくな乙女に!じーじ!!私が斬り刻む大神官!!」


天使ちゃん(おろおろ)「だめですって〜! それに……」

(指をツンツンして、顔を赤らめる)

「……私も、純粋むくな乙女じゃ…ないです…少しは分かります……」


ミャーリ(にやっと笑う)「その“少し”って、どの辺にゃ〜?」


天使ちゃん(真っ赤になって)「もぉー!! この話は終わりです! お小遣い返して来ま──あっ!」


一同「……あっ?」


天使ちゃん(床にペタ座り)「お金、使っちゃいましたぁー!! シクシク」


ミャーリ「何に使ったにゃ?」


天使ちゃん「露店で売ってた、みんなで遊べるゲームです!」



ノーム「仕方ないのぉ……へそくりじゃが、これで返して来なさい。明日にでも」

(小銭袋がふわふわ浮かび天使ちゃんの手へ)


天使ちゃん「ありがとうございます! このお金は借りたということで、絶対返します!」


ミャーリ「天使ちゃん、強くなったにゃ〜。前なら泣いてただけにゃ」


(ひめなとノームがうんうん頷く)


天使ちゃん(にこっと笑う)「成長しましたから、私も!」


ミャーリ「で? どんなゲームにゃ〜?」


天使ちゃん「ふふふ、これです! “恐怖地獄めぐりボードゲーム”!!」


ミャーリ(ぶるぶる震える)「違う意味で成長しすぎにゃ! こ、怖いにゃ〜!」


ひめな(鋭い声)「感知! それ! 置け!」


ノーム「やばいぞー! 離すんじゃ、天使ちゃん!」


天使ちゃん「え〜、大丈夫ですよぉ? みんなオーバーだなぁ〜」


(その時――)

天使ちゃんの手にあったボードゲームの箱がガサガサと勝手に動き出す!


天使ちゃん「むぅにやーはぁーあー!!」

(変な悲鳴をあげて手から投げる)


ボンッ!! 箱から煙が噴き出し、宿の部屋中が煙に包まれた。


ノーム「皆こちらに! 結界展開!!」


ひめな「感知……ボードゲームらしいものは、別の何かに?」


天使ちゃん(震えながら)「ご、ごめんなさいですぅ〜!」


ミャーリ「天使ちゃんのせいじゃないにゃ。けど……煙で見えないにゃ〜!」


ひめな「埒があかない……本気で行く!」


(ひめなが魔槍デビルマスターに変幻!)


煙の中から――

「きゃー!こわいこわいですー!やめてくださいー!」


泣きながら現れたのは、小太りのキツネだった。


ミャーリ「……たぬきにゃ?」


コンきち「ち、違います! キツネですコーン! コンきちって言います! 先程はすみませんコン!」



◆ コンきちの告白


ノーム「まず話を聞こうじゃないか。事情があるじゃろうし」


コンきちは涙目で事情を語り出した。


「じ、実はボク、たぬきち君と“化けっこかくれんぼ”してたんですコン……。

その時、露店の“ボードゲームの箱”に化けて隠れてたんですけど……つい眠っちゃって……」


「気づいたら本物の商品と間違えられて、知らない間に羽のお姉さん(=天使ちゃん)に買われて、宿に運ばれて……。怖くなって動き出したんです! 本当にごめんなさい!」


コンきち「うわーん! 帰りたいコーン!」


天使ちゃん「なんとか帰してあげたいです……!」


ミャーリ「可哀想にゃ〜」



ノーム「よし、転送して帰してやろう! ひめな!」


ひめな「了解、じーじ!」


ノームが魔法で全周囲をスキャンし、ひめなが感知して目的地を固定する。


ひめな「探した! キツネの夫婦とたぬきが探してる……ここだ!」


ノーム「転送するぞ!」


ひめな「槍に乗れ! 飛んでいく!!」


コンきち(青ざめながら)「えっ……そ、それはちょっと……飛ぶのは…転送でお願いします!」


ひめな(ぷくっと膨れて)「むぅ〜……」


ノーム「まぁまぁ、良いではないか」


コンきち「皆さん、本当にご迷惑おかけしました! ありがとうございます! さよーなら〜!」


魔法陣が光り、コンきちはスーッと消えていった。



ひめな「じーじはすごい! 遠距離転送上手い。」


ノーム「ほほほ、年の功じゃ。ひめなもすぐできるようになるわい」


ひめな(ギロッと見て)「本当か?」


ノーム(心の声)「……たまに怖いのう、ひめな。ルイフェル姫に似ておるわ」


天使ちゃん「ありがとうございます! お二人のおかげで、コンきちさん無事に帰れました!」


ひめな「感謝……悪い気はしない」


ノーム「ほほほっ」


ミャーリ「そうにゃ! お祝いにご飯にするにゃ!」


天使ちゃん「そういえば、お腹ぺこぺこでしたぁ!」


ひめな「甘いもの出す」


ノーム「わしは皆の笑顔でお腹いっぱいじゃ」


宿の明かりが、夜空に滲む星と溶け合っていた。


――つづく

【外部サイトにも掲載中!】


イラストはこちら(Pixiv)


https://www.pixiv.net/artworks/132898854


アルファポリスにて画像付きで作品を公開しています。

ご興味ある方はぜひこちらもどうぞ!


▼アルファポリス版はこちら

https://www.alphapolis.co.jp/novel/731651129/267980191

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ