五大悪魔 メネシス
ニグラ(大きな声で)
「こちらが今は五大悪魔の一人! メネシス様だぁ!!」
エルフィナ(震えながらメネシスを恐る恐る見る)
(黒髪ロング、艶のあるストレートヘアの美少女。その赤い瞳は真っ直ぐに自分を見据えている。黒基調のゴスロリ服はレースとフリル多めで、白く透き通る肌に映える)
(エルフィナはその目を見て、深い深い闇の海に堕ちていくような感覚に襲われた)
エルフィナ(まだ震えがおさまらない)
「……わたくしから目を離さない。なんて恐ろしくても綺麗な目なんでしょう」
(しばらく沈黙)
(メネシスは部屋でじっとエルフィナを見つめる)
エルフィナ(心の声)
「わたくしをジッとまだ見つめる……さすが五大悪魔、威厳ある目力ですわ」
メネシス(心の声)
「……エルフィナ……可愛い……好き……実物はもっといい♡」
ニグラ(部屋の隅で小声)
「……あのー、メネシス様」
メネシス(指を立てて)
「黙って……まだゆっくり見たい」
(しばらく沈黙が続く)
(ふと、エルフィナの視界の端に小さな陶器の置物が並んでいるのが見える)
エルフィナ(心の声)
「……はっ! あれは……わたくしの形の置物!? しかも……あれを使って命をいつでも奪える呪いを……すでに作っているってことですの? な、なんて恐ろしい方!」
(メネシス、置物とエルフィナ本人を交互にジッと見つめる)
(くいくいとニグラを手招き)
ニグラ「……メネシス様、なんですか?」
エルフィナ(びくっ)
「はっ! ど、どうされました!?」
(メネシス、エルフィナを無視してニグラに耳打ち)
メネシス「……これ似てない。ほっぺたが違う」
ニグラ「えー……今その話題ですか?」
メネシス「重要」
エルフィナ(心の声)
「……い、今『重要』と言いましたわ!? しかも……わたくしの置物を見ながら!!! こ、心の中はもうパニックですわ〜!」
メネシス(心の声)
「……ほかのグッズも本人に似てるか確認したくなってきた」
エルフィナ(心の声)
「こ、今度は身体を揺らしてますわ〜! もうわたくしダメかも……」
(メネシス、またニグラを呼ぶ)
ニグラ「……えっー、確認ですか」
エルフィナ「かっ、かくにん〜〜!?」
(ニグラ、エルフィナをチラチラ見ながら小声で)
ニグラ「今はやめときましょう〜」
エルフィナ(心の声)
「やっぱり罠……! 『今は』とは……わたくしをどうするか迷っていて、ニグラさんがなんとか止めてくれてるんですわ!? それとも……まだ深い何か、言えない事情が……?」
(メネシス、ちょっとムッとして立ち上がる)
エルフィナ「ひぃー!」
(メネシス、後ろのカーテンを少し開け、チラチラとエルフィナを見る)
(再びニグラを呼び、コソコソ話)
ニグラ「えっ、あれはですね……キャラをデフォルメしたものでして……」
メネシス「本人はもっと可愛い」
ニグラ「えっ? もっと可愛く……? ……わかりました」
(エルフィナ、冷や汗をかきながらジッと見る)
――その時。
(メネシス、足を滑らせ転倒。バサッとカーテンが取れる!)
【カーテンの向こう】
原寸大エルフィナ肖像画。
原寸大エルフィナフィギュア。
エルフィナぬいぐるみ。
エルフィナプリントの枕・布団・クッション。
所狭しと並ぶエルフィナグッズの山。
エルフィナ(目が点)
「…………」
(メネシス、すぐにニグラに指示。人形のメイドたちがカーテンを直す)
(椅子に座り直すメネシスとニグラ)
エルフィナ「……あの、後ろのあれは?」
ニグラ「……後ろのあれ?」
エルフィナ「はい、後ろの……」
(メネシス、大きな声を発する。その声は威厳に満ち、まさに王の中の王たる響き!)
メネシス「戦略的資料」!!!
(真っ直ぐにエルフィナを見据える目)
エルフィナ「え? は、はい?? ……えーーー?」
「え〜〜??」
―つづく―
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