疑惑
(王宮屋敷・客間。高級椅子やソファ、庭が見渡せる大きな窓。全員が集まっている)
エルフィナ「ふー……死ぬかと思いましたわ」
ルイフェル(ニヤっと笑って)「あんなんで死なないよ〜」
アーシア(横のソファに座るルイフェルをジロリと睨む)
ルイフェル(冷や汗)「うっ……ごめんなさい…」
エルフィナ(紅茶を飲みながら)「もう〜やめてくださいましね〜監視は」
ルイフェル(両手をひらひらさせて)「わかってるよー、もう。それ5回目だろ言うの〜」
アーシア(ギロッと睨みながら紅茶を飲む)
ルイフェル(気付いて)「あっ……反省して…ます」
(たわいないやり取りの後、ティナ=カクが本題を切り出す)
エルフィナ(顎に手を当てて)
「ふ〜ん…じゃあ、ニグラさんは刺客が爆発するのを知っていたんですね?」
ティナ=カク「そうです。とても怪しげなやつでした…」
エルフィナ「ルイフェル様から聞いた話しも、なんか怪しさが残りますけど……そのニグラさんがやったと言う証拠がありませんし、悪魔残党とはいえ一瞬で消す力があります。それだけの力がある方ですし…」
(エルフィナ、少し考え込む)
エルフィナ「ルイフェル様が追われた先にニグラさんがいて、誰かと話していた…とおっしゃってましたわね?」
ルイフェル「あーあーフードの奴を追って行くと2回もだぁ!」
エルフィナ(頭に手をやって)「それって!?」
(紅茶を置き、真剣な表情で)
エルフィナ「これはあくまでも憶測ですが……単刀直入に言って、ニグラさんは敵ではないかと」
ルイフェル(立ち上がって)「おい!そんなことないだろ?」
アーシア「なんとなくですが、私もニグラさんは敵ではないと思います」
ルイフェル「おいおい〜アーシア、油断したらダメだって!」
アーシア(鋭い目)「……油断?」
ルイフェル「こわ…」
エルフィナ(少し笑みを浮かべて)「何故わたくしがそう思ったか、これも憶測混じりですが話します」
⸻
エルフィナ「一つ目、ニグラさんがかなりの強さであることは間違いありません。五大悪魔の一人を倒したルイフェル様を前にしても怯まず、残党悪魔を一瞬で倒す力。ハッタリでは絶対に無理ですわ」
エルフィナ「二つ目、ルイフェル様とひめなさんを撹乱し、姿を消せる能力。ひめなさんの能力はトップクラス。それを上回って逃げるなど相当なものです。暗殺だって可能なはず…でもしない」
エルフィナ「三つ目、戦闘を常に避ける」
ルイフェル「そ、それは我にびびってるのでは?」
エルフィナ(小さく咳払い)「そんなことないですわ。先程もいいましたけど対峙したらルイフェル様もただでは済みません。相当な力を隠しているはずですあの余裕な態度から考察して、それに、消えられるなら忍び込むのも容易。戦力を削るために、ひめなさんを盗む…いえ、誘拐するかもしれません。それでも?」
ルイフェル「う…」
ひめな(アーシアの膝に座って)「負ける…ルイフェル。あいつ相当強い…初めて会ったとき、わかった。だからすぐ斬れと言った」
ルイフェル(少しすねて)「我だって…」
アーシア(仕方ない顔でルイフェルの頭を片手で撫でる)
ルイフェル(少し嬉しそうに)「おいおい、アーシアは我に触れてたいんだなぁ♡」
アーシア「はいはい」
(エルフィナ、ちょっとムッとする)
メイ=スケ「恋のロマンスだね〜」
ティナ=カク「なに言ってんだ?」
エルフィナ(気を取り直して)
「ニグラさん、ここで喋った会話、聞いてますよ〜たぶん。ねーニグラさーん! ニグラさんがお話ししていた方と、よーく話をしてお会いできるか、ご連絡くださいね〜」
(独り言のように天井を見上げながら――もちろん、例のダサポーズを全力で決める!)
メイ=スケ
「あ〜あ、やっぱり出た…あのポーズ。肝心なときに決まらないエルフィナ様〜」
(スーッと、一匹の小さな蜘蛛が柱を登り、音もなくどこかへ消えていった)
―つづく―
【外部サイトにも掲載中!】
イラストはこちら(Pixiv)
https://www.pixiv.net/artworks/132898854
アルファポリスにて画像付きで作品を公開しています。
ご興味ある方はぜひこちらもどうぞ!
▼アルファポリス版はこちら
https://www.alphapolis.co.jp/novel/731651129/267980191




