思惑
(はぁー…)
女悪魔は小さくため息をつく。
「仕方がない……今回は名前だけ名乗ります。
ニグラ・フィラメントと申します。
次お会いしたときは“ニグラ”とお呼びください――アーシア様、ルイフェル様」
ルイフェル「な、名前を……おまえ!どこで――」
(槍を構え、目を細める)
ニグラ「あー……もう少しお喋りしたかったのですが……お時間になりました。では、また」
(ひらひらと手を振り、すーっと姿を消す)
──屋根と屋根を軽やかに飛び越えながら。
ニグラ「……ふむ、なるほど」
(誰にともなく微笑み)
ニグラ「ご期待どおり……かもしれませんね」
⸻
場面は変わり、アーシアたちの元へ。
アーシア「ルイフェル様!」
(とても嬉しそうに駆け寄る)
ルイフェル(同じく嬉しそうに歩み寄り)「アーシア、倒したぞ」
ひめな(人型に変幻して)「私のおかげ。感謝しろ」
天使ちゃん(あたりを見回しながら)「……ひぃ〜……」
(まだビクビクしている)
ひめな「おい天使、後ろのそれ……羽か?」
天使ちゃん「は、はい……羽です」
ひめな「くれ。それ」
天使ちゃん「こ、これは……くっついてますから……むりです〜」
ひめな「斬る」
天使ちゃん「きゃー!こわいー!」
ルイフェル「おいおい、冗談だよな、ひめな?」
ひめな「対価がいる」
ルイフェル「対価?」
ひめな「だいぶ働いた。対価だ!」
ルイフェル「しかたないな〜……天使、羽やってくれ〜」
アーシア「いやいや、ダメですよ!」
(天使ちゃんはアーシアの後ろに隠れ、震える)
ひめな「仕方ない……アーシア、抱っこしろ。それ、対価にしてやる」
アーシア「あっ、はい」
ルイフェル「はぁー……対価っているのか?」
ひめな(アーシアに抱っこされながら)「……別にいらない」
ルイフェル(怒った表情を浮かべ)「どっちだよ!……抱っこしなくていいぞ、アーシア」
(小さい声で)「我が抱きつきたいのに……」
(ぶつぶつ)
天使ちゃん(気を使い)「わ、私が抱っこしましょうか?」
ルイフェル(ぱっと微笑む)
ひめな(じーっと見て)「包容力ない。ダメ」
天使ちゃん「え〜」
ルイフェル(再び喪失感のある表情)
⸻
そんなやり取りをしていると、ミャーリが駆け寄ってくる。
ミャーリ「ここにいたにゃー!ご飯にゃよー!
ルイフェルも帰ってきたにゃね、よかったにゃ〜!一緒に食べよ!」
ルイフェル(こっそりアーシアに)「……ミャーリ、大丈夫だったみたいだな〜」
アーシア(にこっと笑い)「はい、いろいろありましたけど……ルイフェル様、優しくなられましたね」
ルイフェル(ドキッとして少し照れながら)「まぁ〜仲間だしなぁ」
アーシア(くすっと笑って)「そうですね♡」
ひめな「イチャイチャするな」
天使ちゃん(その光景を見て心の中で)「……私が入る隙間はなさそうですね」
(悲しそうにうつむく)
ミャーリはそんな天使ちゃんを、そっと見つめていた。
──つづく
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