あめの、ハンマー一閃!
──避難所の入り口前。
巨大な悪魔、ギルグラス=トゥロスがニヤニヤと薄ら笑いを浮かべながら、あめのを見下ろしていた。
ギルグラス=トゥロス(にやけながら)
「おまえがいくら頑張っても、オレの武器には敵うまい……! 笑いが止まらなくなるから、早くどけ!」
あめの(ムッとした顔で勇ましく)
「やれやれ〜。ウチと闘うの、怖いんかぁ?」
(腰に手を当てながら挑発的に)
「その自慢の斧、振り下ろしてみー。ほれほれ!」
ギルグラス=トゥロス(目をひん剥いて叫ぶ)
「チリとなるがいい!!!」
(その叫びとともに、彼のとても大きな腕と手が斧を振り上げ──)
ドゴオォォォォォーーーンン!!!
(もの凄い爆音とともに、斧が地面へと叩きつけられ、砂煙が辺り一面に巻き起こった)
ミャーリ(結界の内側で、必死に目を凝らしながら)
「あめのちゃんが……あめのちゃんがいない……!?」
(両手を結界に打ちつけるように叫ぶ)
「あ、あめのちゃーん!! あめのちゃーん!!」
(そのとき──)
地面の下から、聞き覚えのある声が上がった。
あめの(地面の下から顔を出しながら、にこっと笑って)
「ミャーリちゃん、大丈夫やで〜!」
(砂煙の中、巨大な斧の下から、ぴょこんと顔を出すあめの。右手一本で斧の刃を支え、左手にはハンマーを持ったまま)
あめの(にかっと笑って)
「いや〜、地面にちょいめり込んでもーたわ〜。ミャーリちゃん、大丈夫やで〜!」
(ギルグラスの斧はギシギシと音を立てていたが、あめのはその巨大な武器をまるで枝でもどけるように押し返す)
ギルグラス(震える声で)
「お……おまえ、今……片手で、斧を……!?」
あめの(ケロッとした様子で)
「そーやでぇ〜」
(そのまま、なんなく斧を押し返して立ち上がる)
あめの(手を腰にあてながら)
「ほんま〜、こんな可愛い女子に斧振り下ろして〜。次はウチの番やんなぁ?」
ギルグラス=トゥロス(明らかに怯えながら)
「ちょ、ちょっと待って……!」
あめの(小首をかしげて)
「次、うちやろ〜」
(その瞬間、あめのはギルグラスの頭を軽々と飛び越え──)
(両手でハンマーを持ち上げ、彼の頭めがけて振り下ろした!)
ゴォガァァァァァーーーンンン!!!
(ギルグラスの斧が打ちつけられた音よりも遥かに大きな轟音が、空気を裂くように響いた)
(そして──)
ギルグラス=トゥロスの姿は、一瞬でチリと化して霧散した。
あめの(ハンマーを肩に担ぎながらニカっと笑って)
「どーや〜。ウチの力は、可愛い女子やから、あんま力あらへんけどなぁ〜♪」
(そのまま結界の中のミャーリにニカっと笑う)
ミャーリ(呆れたように、でも心底安心した表情で)
「あめのちゃん……普通の女子は、そんな力ないよ〜!」
あめの(肩をすくめて)
「つっこんだらあかん」
(砂煙のなか、静かに笑い合う二人。その周囲を守る結界は、今もなお、しっかりと輝いていた──)
──つづく
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