表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/147

王宮急行!ハエ男爵の覚醒?

(風の唸りが響く中──エルフィナは、必死に王宮へと急いでいた)


ティナ=カク(風魔法で並走しながら)

「第一王女から第四王女は、みんな別防衛に出てます。」


エルフィナ(困った顔で)

「じゃあ……王宮には、お父様と、わずかな近衛兵だけですわね……」


(顔が青ざめる)


エルフィナ(真剣な表情で)

「まずいですわ。もっと急げますか? ハエ男爵様!」


ハエ男爵(目をキラキラさせて振り返り)

「もちろん〜!! ギューッと掴んでください! エルフィナ様! ギューッとです!!」


エルフィナ(少し戸惑いながらも)

「はい、わかりました……(きゅっ)」

(エルフィナがハエ男爵の服を掴む)


ハエ男爵(わずかに、ほほえんだように見える)


(風魔法で地面を蹴り、加速するカクとスケそしてハエ男爵)


メイ=スケ(小声で)

「やっぱりセクハラでは?」


ティナ=カク(慌てて)

「やめろ! 勘違いだ、スケの!」


エルフィナ(明るく笑って)

「そうですわよ〜。やめなさい!」


ハエ男爵(前を見たまま、声を張る)

「私はこんな身なりです。勘違いしても仕方ありません。──エルフィナ様、もう少し寄ってください」


エルフィナ(素直に)

「はい!」


メイ=スケ(震える声で)

「騙されてるよぉ〜、こいつに……(ぼそっ)」


ハエ男爵(急停止して)

「──着きましたぞ!」


エルフィナ(微笑んで)

「ありがとうございます! ハエ男爵様。降りますね」


(エルフィナが、ひらりとハエ男爵の腕から離れる)


ハエ男爵(小さくつぶやくように)

「あっ、あ〜……」

(どこか、悲しそうに見える)


メイ=スケ(すかさず指を差し)

「ほら! エルフィナ様にひっつきたかったのに、離れたから残念がってるよ!」


エルフィナ(怒らずに)

「ダメですよ。ハエ男爵様は、わたくしの怪我を案じてくださっているのですわ」


ハエ男爵(姿勢を正して)

「そうです。……勘違いさせてしまい、すいません」


メイ=スケ(くぅ〜〜っと顔をしかめ)

「こいつぅ〜〜〜〜」


ティナ=カク(強引に)

「ほら! 行くぞ!!」


──そして一行は、ついに王の謁見の間へとたどり着いた。


(王が立ち上がり、椅子の前に立っている。その隣には……大臣)


エルフィナ(警戒しながら)

「……大臣? なぜお父様のすぐ横に?」


大臣(にっこりと笑い)

「これはこれは、エルフィナ様。どうされました?」


エルフィナ(きっぱりと言い切る)

「どうされました、とは? 大臣、今の状況を把握されていないのですの? あまりにも悠長ですわ」


大臣(やや焦りながら)

「そ、そーですねぇ〜。でぇ、姫様は何をしにこちらへ?」


エルフィナ(毅然と)

「お父様を、国王を、安全な場所へお連れするためですの!」


大臣(不快そうに)

「それは手続きがいりますし、それに……なんですか? その得体のしれぬ者は……」


(ハエ男爵をジロリと見つめる)


エルフィナ(声を強めて)

「この方は味方ですわ! とても強い味方ですの!」


大臣(何かを言いかけるが──)


ハエ男爵(前へ出ながら、声高に)

「エルフィナ様、ありがとうございます! “強い味方”! いい響きでございます!」


(そのままエルフィナに手を伸ばし、ほっぺをさわさわ)


ハエ男爵(恍惚とした表情で)

「エルフィナ様こそ、可愛くて、ふわふわして、やわらかいですよ……この、ぷにぷにのほっぺた♡」


王様(眉をつり上げて、大臣から少し離れ)

「やめろぉ! 触るんじゃない!!!」


ハエ男爵にやりと

「そして……このキュートなくちびる♡」


王様(ブチ切れて、走ってくる)

「おのれ〜〜〜ッ!!」


(大臣が慌てて王を追おうとした瞬間──)


エルフィナ(王を飛び台にして)

「──はっ!」


(大臣の顔に、飛び蹴りを一撃)


(ガシィィンッ!)


(大臣が手からナイフを落とした)


エルフィナ(笑顔で)

「ナイスです! ハエ男爵様!」


ハエ男爵(胸を張って)

「はい! よくやりました!」


王様(混乱気味に)

「ど、どういうことだ……?」


エルフィナ(息を整えつつ)

「説明しますね。お父様は、大臣にナイフで脅されて、人質にされていましたの。そこで、ハエ男爵様が機転を利かせ──よくわかりませんが、あのような行動をされて……」


(少し顔を赤らめつつ)

「お父様が怒って走ってきたときに、ハエ男爵様が『今です』と耳打ちされて……わたくしは大臣に蹴りをお見舞いしましたの!」


王様(ちょっと納得したように)

「そ、そうか。エルフィナに触ったのは、わざとだということだなぁ?」


ハエ男爵(爽やかに)

「そーでございます! 王様!!」


ティナ=カク(拍手しながら)

「さすがです! ハエ男爵様!! さっきのエルフィナ様への変な行動は……そういう訳だったんですね! 尊敬します!!」


メイ=スケ(呆れ顔で)

「嘘〜〜!? マジかー!? 信じるのそれ〜!? セクハラ、ハエ男爵、恐るべし……」


──しばらくして。


(拘束された大臣が、自白を始めた)


大臣うなだれながら

「……私は、悪魔に操られていたのです。スパイとして、王に近づくよう命じられておりました……」


エルフィナ(凛とした表情で)

「その悪魔の名は……?」


大臣(絞り出すように)

「“グラドゥア=ヴァルゼイン”……」


(場の空気が一瞬、凍る)


エルフィナ(深刻な声で)

「……五大悪魔の一人、“災翼〈さいよく〉のヴァルゼイン”──ついに、来ましたわね……」


──つづく。


【外部サイトにも掲載中!】


イラストはこちら(Pixiv)


https://www.pixiv.net/artworks/132898854


アルファポリスにて画像付きで作品を公開しています。

ご興味ある方はぜひこちらもどうぞ!


▼アルファポリス版はこちら

https://www.alphapolis.co.jp/novel/731651129/267980191

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ