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王宮へ急げ!ハエと姫と騎士たち

(怒気とともに、エルフィナの身体が魔力に包まれ、淡く輝き始める)


(ポタ……ポタ……血が垂れ続ける中で、瞳の奥の決意が揺るがない)


(ゆっくりと左手を前に出し、手招きするようにくいくいと指を動かす)


エルフィナ「来なさい」


(怒りに我を忘れた悪魔ABが、同時に突進してくる!)


悪魔A「怪我人のおまえが、我らに勝てるかぁ!!」


(来い……)


(すれ違うその瞬間──エルフィナはくるりと回り込み、勢いを利用してそれぞれの背中に掌底を叩き込む!)


エルフィナ「──これが、あなたたちの報いですわ」


ドガァァン!!


(悪魔たちは勢いのまま壁に叩きつけられ、無惨に崩れ落ちた)


(その瞬間──)エルフィナを囲んでいた悪魔達が、


悪魔たち「ガッ……!

ど、毒…グッ」


(近くにいた悪魔たちが、次々に血を吐いて崩れ落ちていく)


???「可愛い子に何するんだーい♪」


(砂煙が舞う方角から、軽やかな声が響いた)


エルフィナ(まさか……? あの方が……)


(驚きながらも、どこか安心したように笑みを浮かべる)


「悪魔王! ベルゼバブ様だよっ!」


(その声と共に現れたのは、赤いドレスに左胸に飾られた黒いバラの姿のベルゼバブと、執事服のタキシード姿をまとった無数のハエの魔物たち)


ベルゼバブ(手を振りながら)「大丈夫かーい? 姫さん。ここら一帯は、私の部下が悪魔退治するよ!」


(少し安堵し、肩の力を抜くエルフィナ──だがその直後)


(……あのときの言葉が脳裏によみがえる)


悪魔A「ふーん、死ななかったね?」


悪魔B「そうね。さすがお姫様!」


エルフィナ(たしかに……あの悪魔は、わたくしを“姫”と呼んだ。わかっていて、狙った)


エルフィナ「これは……前々から計画された襲撃……」


(第一王女から第四王女……そして、王様までも!)


エルフィナ「──王宮が、危ない!!」


(青ざめた表情で振り向く)


エルフィナ「すみません! ベルゼバブ様、ここをお願いしますわ!」


(そう言い残して、右肩から血を垂らしながらも、王宮へと走り出す)


ベルゼバブ「ちょちょっ、待ちなよ〜! 怪我、怪我してるじゃない!」


(ベルゼバブの静止も振り切るように走るエルフィナ)


ベルゼバブ(肩をすくめながら)「仕方がないねぇ〜。ハエ男爵いるかい?」


ハエ男爵(すっと現れる)「はい。私に何か?」


ベルゼバブ「王女を護衛して、あれ以上怪我させるんじゃないよ〜」


ハエ男爵「はい! 承知しました!」


(その場で一礼し、音もなく姿を消す──)


(次の瞬間、エルフィナの横に並走していた)


ハエ男爵「状況は把握しています。私がついております」


エルフィナ「……わかりました。お願いし……ます……っ(はぁっ、はぁっ)」


(息を乱すエルフィナを見て、ハエ男爵が申し出る)


ハエ男爵「わたくしめがエルフィナ様を抱き上げて運びます。その際、治癒毒を打たせていただきます」


(頬を少し赤らめて見える彼に、エルフィナは一瞬ためらったが)


エルフィナ「……わかりました。お願いします!」


ハエ男爵「頑張りますぞぉ!!」


(ハエ男爵はエルフィナを抱きかかえ、王宮へと全速力で飛ぶ!)


──その様子を、遠くから見ていたティナ=カクとメイ=スケ。


メイ=スケ「やばい! エルフィナ様〜! ハエに捕まってる〜!」


ティナ=カク「はぁ? ハエ……? 本当だ! やばい、助けに行くぞー!」


(飛び出した二人がエルフィナの前に回り込む!)


ティナ=カク「エルフィナ様を放せ!!」


エルフィナ(ハエ男爵を見て、にこやかに)「わたくしの護衛騎士ですわー」


(治癒毒のおかげか、顔色が少し回復している)


ハエ男爵「こーんな可愛い王女様を離すものかっ! ふわふわ柔らかくて、たまらん王女様だよぉ!!」


エルフィナ(首を小さく傾けて)「ちょっとハエ男爵様〜?」


エルフィナ「ティナ=カク、メイ=スケ、やめなさい! ハエ男爵様はベルゼバブ様の忠実なしもべ、わたくしたちの味方です!」


ハエ男爵「はい! 私、ハエ男爵と申します。美しいお嬢様方、実に可愛いお二人だ!」


(うっ……)ティナ=カクとメイ=スケがわずかに顔をしかめた。


ティナ=カク(すまなそうな顔で)「先程は……すいません」


ティナ=カク「スケ! お前も、騎士らしく謝れ!」


メイ=スケ「えっ、ハエに?」


ティナ=カク「おい! やめろ!」


ティナ=カク「すいませんすいません! 同僚がすいません!」


ハエ男爵(胸を張って)「大丈夫ですよ。私は慣れてますから。迫害を受けてきましたが、私は正義を貫く者。いかなる言葉も私を屈服させられません!」


(ギュッとエルフィナを抱きしめて宣言)


(顔、ちょっと赤い……)


メイ=スケ(ジト目で)「ハエ〜、おまえ〜エルフィナ様に、どさくさにセクハラしてねー?」


ハエ男爵「いえいえ、滅相もございません!」


エルフィナ「こら! 失礼ですよ!!」


ティナ=カク「そうだぞー!」


メイ=スケ「いや〜おまえらわかれよ〜、まぁ〜いいけどさ」


ハエ男爵(手を掲げて)「さぁ、みなさん! 王宮に向かいましょう!」


エルフィナ「はい!」


──そしてその頃、遠く離れた場所で──


ベルゼバブ(空を見上げながら)「あっ? あいつ……部類のおん……まぁ、いいかぁ〜」


──つづく。


【外部サイトにも掲載中!】


イラストはこちら(Pixiv)


https://www.pixiv.net/artworks/132898854


アルファポリスにて画像付きで作品を公開しています。

ご興味ある方はぜひこちらもどうぞ!


▼アルファポリス版はこちら

https://www.alphapolis.co.jp/novel/731651129/267980191

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