祈りと再会
ミャーリの母は、地に倒れ、息も絶え絶えだった。
(どうか……助かって……!)
アーシアは両手を組み、祈りのポーズをとる。彼女の体から放たれる神聖な光が、夜の闇を切り裂くように強く輝いた。
「お願いです……リュミナ様。あなたの力を、今、私に貸してください……!」
その声に呼応するように、アーシアの中に眠るリュミナの魂が共鳴する。彼女の身体が淡く光り、その手がそっとミャーリの母の胸元に触れた。
(絶対、助けます……!)
すると、奇跡が起きた。ミャーリの母の体が微かに動き、胸が上下する。血まみれだった傷口が、光に包まれて徐々に塞がっていく。
「おかあさん!!」
ミャーリが叫び、泣きながら母に駆け寄る。
「治りました……よかった。本当に……」
アーシアがほっとしたように微笑んだ瞬間、膝が崩れ落ちそうになる。
「ああっ、アーシアちゃん!」
あめのが慌てて彼女の体を支えた。
「お疲れ様〜。神聖力をあれだけ急に使ったら、そりゃ倒れるわぁ〜。むちゃするやん、アーシアちゃん……」
ミャーリはアーシアを見つめ、目を潤ませながら言った。
「アーシア様……ありがとうにゃ……本当にありがとうにゃ……」
ミャーリの母もゆっくりと目を開け、娘に向かって微笑む。
「ミャーリ……私、傷が……」
「よかったにゃ〜! 傷、治ってるにゃよぉ……おかあさん……ごめんなさいにゃ……おかあさんにも事情あるはずなのに、責めてばっかりで……」
「ミャーリ……私こそ……ごめんなさいね……寂しい思い、させて……」
二人はそっと手を取り合い、涙を流した。
その様子を見ながら、あめのが周囲を警戒して言った。
「近くに避難所がある。ナリアちゃんがいるはずや。ここにおってもまた危ない……行くで!」
──
避難所では、多くの人々が苦しそうに横たわっていた。負傷者のうめき声がかすかに響く中、ナリアが真剣な表情で包帯を巻く手を止めた。
「あめのさん! ミャーリちゃん……それに……おばさま……アーシア様まで!?」
あめのは、アーシアをお姫様抱っこのまま、ゆっくりと頷いた。
「あぁー……アーシアちゃん、今は力使い果たして、眠ってるんよ」
「……今は静かに寝かせてあげてください。ここも怪我人だらけで……神殿の方たちが神聖魔法で治癒してますけど、人手が足りなくて……」
ナリアの眉間には疲れが浮かんでいたが、どこか安堵の色も見える。
あめのはアーシアをそっとベッドに横たえながら、優しくつぶやいた。
「ほな、私らもできること、手伝うで。こういう時こそ、団結や……!」
──つづく
【外部サイトにも掲載中!】
イラストはこちら(Pixiv)
https://www.pixiv.net/artworks/132898854
アルファポリスにて画像付きで作品を公開しています。
ご興味ある方はぜひこちらもどうぞ!
▼アルファポリス版はこちら
https://www.alphapolis.co.jp/novel/731651129/267980191




