武器制作
ミャーリの実家──その裏庭。
あめのちゃんの手で、突如現れた真新しい鍛冶場から、ふわりと蒸気が立ち上る。
あめの(ハンマーをぐいっと肩に担ぎながら)
「ほな〜作っていくでぇ〜♪ ちゃちゃっと仕上げたるわ〜!」
(あたりを見回して)
「そやそや、作業中もおってなぁ〜? うち、寂しがりややねん〜ふふ♡」
アーシア(手をもじもじさせて、顔を赤らめながら)
「あ、あの……さっきの、その……キスのことですが……すごく、長くて……息が、ちょっと……しにくかったです……」
あめの(ケタケタ笑いながら)
「ははっ、そんなたいそうなもんちゃうで〜? いつも、いつもは“ちゅっ”て終わりやし!いつもは」
アーシア(目をまんまるくして)
「えっ!? いつも……って言いましたよね? “いつも”って、何回も……?」
あめの(ニヤッと笑って指を立てる)
「せやせや〜♪ うち、これまでにも契約のキスってしたことあるんよ〜」
(ちょっと得意げに)
「うちは女の子としかキスせんのがポリシーやから安心してな〜♪」
アーシア(赤面しつつも混乱して)
「そ、それって……慣れてるってこと、ですか……?」
あめの(ハンマーをくるりと回して肩に担ぎ直しながら)
「うちはな、アーシアちゃんみたいな子、大好物やねん♡」
「でも今回はうち、2番目やろ〜?」
(ニカッと笑って)
「せやからな〜、余韻、残したろ♡って思って……ちょ〜っと長めにしたんよぉ〜♪」
アーシア(顔を真っ赤にして、手で頬を隠しながら)
「っっっ……知りませんっ!!」
(バッと踵を返して)
「ルイフェル様のそばに……戻りますっ!!」
あめの(後ろ姿を見送りながら、ちょっと口を尖らせて)
「あー……行ってしもたぁ〜……うち、ちょ〜しぃ乗ってもうたやろか……寂しぃわぁ〜……」
(そのとき、あめのの肩にそっと手が置かれる)
ミャーリ(目をキラリとさせながら、ちょっとかっこよくポーズを決めて)
「いたげるよーにゃ♪」
あめのちゃん(うるっと目を潤ませて)
「ありがとうミャーリちゃん……ほんま、ええ子やぁ〜……」
(ぐっと涙をこらえて、ぐっと親指を立てる)
「もうちょい大きゅうなったらな〜、恋の射程範囲に……入れたるからなぁ〜♡」
【ルイフェルの部屋/ミャーリの実家2階】
(窓から柔らかな陽が差し込む中、ルイフェルはまだ苦しげにベッドに横たわっている)
(そこへ、アーシアが静かに部屋に入ってくる)
アーシア(そっとルイフェルの額に手を当てながら)
「……大丈夫です、ルイフェル様。もうすぐ……助かります」
(その目には、決意の光が宿っている)
(ルイフェルはうわごとのように、うっすら目を動かしながら)
ルイフェル(寝言のように)
「……あーし……あ……きれ……い……」
アーシア(顔を赤らめながら)
「も、もうっ……起きて言ってください、そういうことはっ!」
(でもその声色は、どこか嬉しそう)
アーシア(そっと布団を整えて)
「……待っていてください。武器が完成したら……すぐ、助けますから」
──そして。
【外・即席の鍛冶場】
(ミャーリの家の裏に忽然と出現した、本格的な鍛冶場。火の精霊がふわふわと舞い、炉が赤々と燃えている)
(その中で、あめのが大きなハンマーを振るっている)
あめの(トントン!とリズムよく叩きながら)
「う〜ん、うちはぁ〜天才やからな〜♪ こんくらい、よゆーやでぇ〜♪」
(汗をかきながらも、ご機嫌な様子)
ミャーリ(見守りながら)
「さっきまで寂しい〜って言ってたとは思えないにゃ〜……」
あめの(得意げに)
「そらそーや! 恋と鍛冶は〜情熱やぁ〜!」
(トン!トン!とリズムがさらに速くなる)
(そこへ、アーシアが戻ってくる)
アーシア(静かに)
「ルイフェル様は……少し落ち着いています」
あめの(うなずきながら)
「よっしゃ! あと少しで完成や!」
(鍛冶場全体がふわりと火のオーラに包まれる)
(あめのが最後の一撃を振り下ろす)
バァンッ!!
(光の爆風とともに、一本の黒銀の武器が台座の上に現れる)
(それは、ルイフェルの魔力に呼応するように脈動する、禍々しくも美しい一振りだった)
あめの(満足げに)
「できたでぇ……“ルイフェル専用”の、魂の武器や!」
アーシア(瞳を輝かせながら)
「すごい……」
ミャーリ(感心しきり)
「さすが、火の神に仕える鍛冶師にゃ……」
あめの(肩にハンマーを担ぎながらニッと笑う)
「契約してくれたおかげやで〜アーシアちゃん! ほんまにありがとうな〜!」
(その声に、アーシアは恥ずかしそうにうなずき)
アーシア「わ、私こそ……ありがとうございます!」
──その夜。
アーシアはそっとルイフェルの部屋へ入り、できあがった武器をそっと胸元に置く。
アーシア(静かに祈りを込めて)
「ルイフェル様……この武器で、どうか毒が……あなたを蝕むものが消えますように……」
(その瞬間、武器がふわりと光を放ち、ルイフェルの身体を包み込む)
(黒い煙のような毒気が、少しずつ抜けていく)
ルイフェル(眉をしかめながらも)
「……ん……く、くるしい……けど……なんか、あったか……い……」
(その言葉に、アーシアの目に涙が浮かぶ)
アーシア「ルイフェル様……!」
──つづく。
【外部サイトにも掲載中!】
イラストはこちら(Pixiv)
https://www.pixiv.net/artworks/132898854
アルファポリスにて画像付きで作品を公開しています。
ご興味ある方はぜひこちらもどうぞ!
▼アルファポリス版はこちら
https://www.alphapolis.co.jp/novel/731651129/267980191




