夜に舞う囮(おとり)姫
夜──。
ふたたび施設に戻ったエルフィナ、ティナ=カク、メイ=スケの三人は、まず子どもたちの救出を優先するため、カクとスケだけを先に潜入させた。
しばらくの間、エルフィナは建物の裏手に立ち、慎重に周囲の様子をうかがっていた──そのときだった。
「……お嬢ちゃん? こんな夜に、どうしたんだい?」
突然、後ろから声をかけられた。
振り返ると、薄汚れた服を着た男がニヤついた顔で立っていた。
エルフィナ(少し戸惑うふりをして)
「あっ……あの、迷ってしまって……」
男(近づきながら)
「そうかぁ、そりゃ可哀想にな。ほら、こっちに来な」
男の目がギラリと光る。
「……ほう、いいとこの子みたいじゃねぇか。へっ……いい収穫だな」
男がエルフィナの袖をつかもうと手を伸ばしてきた──が。
エルフィナの姿がふわりと揺れた。
「おっと!? 逃げるんじゃねぇ!」
焦った男がもう一度手を伸ばした、次の瞬間──
エルフィナはその腕を軽く払ってつかみ、相手の勢いを見事に利用しながら、ぐるんとその体を回転させた。
ズドン!
男の体が地面に叩きつけられる。完全に無力化された状態だ。
エルフィナ(きりっとした表情で、少しポーズを決めつつ)
「王族護身術ですわ!」
夜の風が静かに吹き抜ける中、エルフィナの瞳は強く輝いていた──。
倒れた男の上に、エルフィナは優雅に立ち、ひとり堂々とポーズを決めていた。
エルフィナ(片手を腰に、もう一方を斜めに掲げて)
「ふふ……誰も見ていないのが少々寂しいですわねぇ……」
そのとき、奥の廊下から足音が。数人の男たちの声が交じる。
エルフィナ(ポーズを崩さず)
「仕方ありませんわ……皆さんが来るまで、少しお待ちしますの」
ほどなくして現れたのは、刀や棍棒を手にした五人の男たち。
男A(怪訝そうに)
「ん……なんだ、あれ? ポーズ取ってる?」
男B(視線を落として)
「おい、下……誰か倒れてるぞ……」
男C(呆れたように)
「いや、状況が意味わからん……」
エルフィナ(得意げに)
「わかりませんの? この者を倒し、キメポーズを決めて、皆さまをお待ちしていたのですけれど?」
くるりと一回転し、髪をなびかせながら挑発。
エルフィナ
「でも、なんか……少ないですわね? もっと呼んだほうがよろしいのでは?」
囮になるため、わざと男たちを煽る。
男D
「ははっ、大丈夫かぁ〜このお嬢ちゃんは?」
──その瞬間。
男Dが手を伸ばしたと同時に、エルフィナの体が流れるように動く。
男の手を逆手に取り、ぐるりと回転。そのまま男を足払い混じりに投げ飛ばした!
ドンッ!
男D(「ぐわっ……!」)
男Eがあっけにとられて一歩前に出た、その刹那──
エルフィナは男の手首を逆関節に捻り上げ、横回転の勢いをつけて地面に叩きつける!
バシュン!
男E(「ぎゃっ……!?」)
そして3人目、男Fがそれを見て動いた瞬間──
エルフィナは構えを変え、脛に思い切りの前蹴りを叩き込む!
ズンッ!!
男F(「うぐっ……!」と前かがみに)
そこへ容赦ない膝蹴りが顔面へ――!
ドバチィンッ!!
男Fは目を白黒させながら、その場に崩れ落ちた。
エルフィナ(軽やかに着地しながら、笑みを浮かべて)
「さて……次はどなたが参りますの?」
残った二人の男たちは、完全に顔色を失い、動けない。
男G
「な、仲間を呼べ……こいつヤベェぞ!!」
エルフィナ(くるっと一礼)
「そうそう、それくらいでなければ囮になりませんわ〜」
夜の廊下に、少女の笑みと、倒れた男たちの呻き声が交錯した――
つづく。
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