調査開始
エルフィナの借りている宿・客間、
クレアは、エルフィナに温かい紅茶をもらいながら、小さく震えている。
エルフィナ(やさしく)
「落ち着いた? 無理に話さなくてもいいのよ」
クレア(小さくうなずく)
「……はい。でも……言わないと……みんなが……またいなくなっちゃうかも」
エルフィナが静かにうなずいて、耳を傾ける。
クレア
「一ヶ月くらい前に……急に園長先生がいなくなって、新しい人が来て……それから、夜にこっそり出ていく子が何人も……」
エルフィナ
「夜に……? それ、誰かに呼ばれて出ていったの?」
クレア(首を横に振る)
「わかりません。でも……教育係のコルクさんと、たまに見たことのない大人が、夜に裏口で話してるの、見ました……」
エルフィナの表情が少しだけ強張る。
エルフィナ
「怖かったでしょうに、よく話してくれたわ。ありがとう」
クレア(ポツリと)
「……わたし、呼ばれたけど……行かなかった。行ったら……帰ってこられない気がして……」
エルフィナがそっとクレアの手を取り、優しく包み込む。
エルフィナ
「それでいいの。よく耐えたわ。大丈夫、私たちが必ず真実を見つけて、守ってみせるから」
(すっ…と前に出て、腰に手を当ててキリッとポーズ)
メイ=スケ(じっと見て、ぽつり)
「……あー、また出たぁー。姫様の謎ポーズ」
ティナ=カク(ひじで小突きながら)
「スケ、やめとけ」
エルフィナ(ぴくりと反応しつつもポーズを崩さず)
「これは“気取り”ではなく――“気概”ですわ」
クレア(くすくす笑って)
「ふふっ……エルフィナ様って、変わってて……でも、かっこいいです」
メイ=スケ(ちょっと照れたように)
「……ほら、小さい子にまで気つかわせてるって」
ティナ=カク(即座に)
「だから言うなって」
エルフィナ(うるっとしながら目線をそらす)
「……ちょっとくらい、ノってくれても、いいじゃない……」
クレア(慌てて)
「あっ、わたし本当にそう思ってます!守ってくれるって言葉、すごく安心しました!」
エルフィナ(笑顔を戻し)
「ありがとう、クレアさん。あなたの言葉、胸にしっかり刻んでおくわ」
場所は変わって、
【路地裏、施設の見える位置──エルフィナたちは馬車の中で様子をうかがっていた】
エルフィナ(馬車の中で腕を組み)
「……クレアさんはこのまま宿に。専属のメイドに任せておけば安心だし、あの宿なら貴族が関わっていても手出しはできないわ」
ティナ=カク(頷いて)
「同感です。今回は裏に“大きな力”が絡んでいるかもしれませんから。彼女は巻き込まないほうがいい」
メイ=スケ(窓の外を眺めながら)
「まぁ、あの子を見てると、置いてきたくない気にもなるけど……正直、今回はヤバそうだしね」
エルフィナ(馬車の外を見て、やや表情を引き締め)
「施設が見えてきました。二人とも、少し空気が違うと思わない?」
ティナ=カク
「ええ……門の前に立っているの、見たことのない人間ですね。職員か……それとも見張り?」
メイ=スケ(やや呆れたように)
「園児施設に見張りって、どんなだよ……」
エルフィナ(静かに微笑み)
「じゃあ、私たち“第五王女”として、ちょっとだけ訪問させてもらいましょうか」
つづく。
【外部サイトにも掲載中!】
イラストはこちら(Pixiv)
https://www.pixiv.net/artworks/132898854
アルファポリスにて画像付きで作品を公開しています。
ご興味ある方はぜひこちらもどうぞ!
▼アルファポリス版はこちら
https://www.alphapolis.co.jp/novel/731651129/267980191




