鎌対鎌
(荒れ果てた渓谷。ミャーリの故郷近く。砂が舞い、風が鳴る)
(死神ちゃんが鎌を構え、前方に立つのは――砂の仮面をつけた悪魔、ネフェル=モルト)
死神ちゃん(鎌をくるくる回して)
「ん〜……やっぱいたね〜。ミャーリちゃ〜んの〜父様、あの木にくくられてるぅ〜……ダル〜」
(ネフェル=モルトの背後、木に縛られた父様の姿)
ネフェル=モルト(低く)
「……邪魔だ」
(その一言と同時に、黒い砂が周囲に巻き上がる)
死神ちゃん(肩に鎌をのせて、ちょっと笑う)
「も〜、いきなりぃ〜? 前置きな〜し〜?」
(風が唸る。ネフェル=モルトの背から“黒鉄の鎌”が生えたかのように出現)
死神ちゃん(青い目を細める)
「ふ〜ん……鎌かぶり〜……じゃあ、勝負だね〜♡」
(両者の鎌が激突!)
「カキィィン!!」
(死神ちゃんが横に跳び、すれ違いざまに鎌を振る。ネフェル=モルトはギリギリで防御)
ネフェル=モルト(無表情)
「速い」
死神ちゃん(にこっ)
「でしょ〜♡」
(ネフェル=モルトが地面を蹴る。砂の中から灰色の手が何本も伸び、死神ちゃんを狙う)
死神ちゃん(スカートをつまんで避けながら)
「わっ! ぬるぬる〜……キモいよぉ〜」
(影をすり抜け、死神ちゃんが一瞬で背後に回る)
「ギィイイィン!!」
(鋭く鎌を振るう。ネフェル=モルトは後ろ手で受け止める)
ネフェル=モルト(淡々と)
「導く鎌……砕く鎌……どちらが勝つか」
(地面に灰の陣が広がり、死神ちゃんの足元から黒砂が湧き出す)
死神ちゃん(イラッとした顔)
「……なんか〜足元ベタベタ〜するぅ〜……やだなぁ〜」
(砂が胸元へ。黒い印が刻まれる)
ネフェル=モルト
「“遅延死刻”。もうすぐ……終わる」
(死神ちゃんが胸に手を当てる)
死神ちゃん(ぼそりと)
「……どうしよっかなぁ〜……リュミナ様ぁ〜……」
(遠くからミャーリの声)
ミャーリ(必死に)
「死神ちゃーん!! 負けちゃダメにゃー!!」
(その瞬間、死神ちゃんの目が光る)
死神ちゃん(ぽつり)
「……1人じゃないんだった〜……」
(刻印がパリッと音を立てて割れる)
ネフェル=モルト(わずかに目を見開く)
「……破った……?」
(死神ちゃん、鎌をゆっくり構える)
死神ちゃん
「こ〜ゆう時〜……魂が強くなるんだよぉ〜……」
「“本気斬り!!”――いっくよぉ〜♡」
(空気が一瞬静まる)
(次の瞬間、死神ちゃんが高速で横切る)
「ギィイイィン!!」
(ネフェル=モルトの仮面が砕け、静かに砂となって消える)
ネフェル=モルト(消え際に)
「……見えなかった…」
(風が吹き抜け、渓谷に静けさが戻る)
死神ちゃん(鎌を肩にのせて)
「はぁ〜……ダル〜……でもぉ〜……勝った〜♡」
(アーシアたちが駆け寄ってくる)
アーシア
「無事でよかった……!」
ミャーリ
「かっこよかったにゃ〜!」
死神ちゃん(ふわっと笑って)
「へへ〜……リュミナ様〜……見てた〜?」
(そして――)
(フラつきながら近づいてきたルイフェルが、死神ちゃんに「よくやった」と伝え――)
(そのまま倒れる)
アーシア
「ルイフェル様ー!!」
(アーシアが泣きながら、ルイフェルを抱きかかえる)
――つづく。
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