「ミャーリの故郷にて」
ミャーリの故郷――クルド族の村に一行が到着した。
だが、村はどこか異様な空気に包まれていた。
村人たちは皆、目が虚ろで、動きもぎこちない。
ミャーリ(顔を曇らせて)
「ど、どうしたにゃ……? みんな……」
ルイフェル(鋭く言い放つ)
「ミャーリ、近づくな!」
アーシア(冷静に)
「これは……皆、何かに取り憑かれてます」
死神ちゃん(鼻をくんくんさせながら)
「ん〜〜嫌〜なぁ〜匂い〜……」
一人の村人がフラフラと近づいてくる。
ルイフェル(緊迫した声で)
「アーシア! 浄化の魔法だぁ!」
アーシア(祈るように手を合わせ)
「はい! 祈りを光し時――浄化!!」
光が村人を包み、その体から魔物が苦しげに飛び出した。
ルイフェル(憤りをこめて)
「こいつら……村人に寄生してやがる!」
アーシア(焦りながら)
「ルイフェル様! 私の浄化だけでは、倒せません!」
ルイフェル(力強く)
「まかせろぉ! アーシア!! 魔物なら――吸収が使える!」
(左手をかざして)
「吸収ッ!!」
魔物を吸い込みながら、ルイフェルの顔に苦痛の色が浮かぶ。
アーシア「ルイフェル様!? ご無事ですか!?」
ルイフェル「だ、大丈夫だぁ……心配すんなぁ……! くっ、毒が……! これだと潰しても、毒が辺りに飛び散るな……吸収しかない!」
(心の中で)
(ベルゼバブを呼びたい……だが、死神ちゃんが今出ている……これ以上は許容超えだ……)
アーシアは次々と村人に祈りを捧げ、浄化を進める。
ルイフェルは苦しみながらも、吸収を続けていた。
その時――
ミャーリ(震えながら後ろに下がる)
「うぅ……私じゃ……なんの力にも……」
死神ちゃん(村人を鎌の柄で押し返しながら)
「怪我させたくないし〜 むずいな〜」
ミャーリのそばにしゃがみ込み、優しく頭に触れる。
死神ちゃん「猫の子〜……大丈夫だよぉ〜 “聖女になりたい”って言ってたよね〜?」
死神ちゃん「信念さえあればぁ〜 だいじょぶ〜」
(ふわりとミャーリの頭に不思議な力を注ぐ)
そして――
死神ちゃん「ほいっ♪」
(ぽーんとミャーリを村の中心に投げる)
ミャーリ「みゃみゃみゃ!? きゃあっ!」
咄嗟に手をかざすミャーリ。その周囲に光の結界が広がる。
ミャーリ(驚き)
「みゃ……!? け、結界……!?」
死神ちゃん(にこにこしながら)
「よかったねぇ〜♪ あらりょうほ〜だけど〜 できたぁ〜♡」
さらに――
死神ちゃん「この洞窟に〜治ったクルドの人たち〜誘導して〜 中から結界で守ってねぇ〜 猫の子ちゃ〜ん……じゃなくて! ミャーリちゃ〜ん♡」
ミャーリ(小さくうなずいて)
「わ、わかったにゃ!」
――数十分後。
アーシアとルイフェルの浄化と吸収によって、ほとんどの村人が正気に戻っていた。
その中に、ミャーリと昔親しくしていた優しい隣人――ナリアの姿があった。
ナリア(うっすら目を開けて)
「……ミャーリ? 本当に……ミャーリなの……?」
ミャーリ(駆け寄って)
「ナリアお姉さん!? だ、大丈夫にゃ!? 無理しちゃ――!」
ナリア(微笑みながら)
「ふふ……変わってないね、ミャーリ。優しくて、まっすぐで……昔のままだ」
ミャーリ(うつむきながら)
「でも……父様には“聖女になるな”って言われて……ずっと反対されてて……にゃ……」
ナリア(首をゆっくり横に振る)
「ちがうよ、ミャーリ。それ……本心じゃないの」
ミャーリ「……え?」
ナリア(少し遠くを見るように)
「昔……ミャーリが崖から落ちたとき、光があふれてあなたを守ったの……」
ナリア「その夜、村長――あなたの父様は、ずっと悩んでいたの。『あの子の力を見た誰かに利用されたらどうしよう』って……」
ナリア「“普通の女の子として生きてほしい”って……何度も、そう言ってたのよ」
ミャーリ(震える声で)
「……そ、そんなの……言ってくれたら……」
ナリア(優しく頭を撫でながら)
「言えなかったの。あなたを守るために、あえて……冷たくしたのよ」
ミャーリ「……父様……」
(はっ、と顔を上げ)
「父様は……!? 父様はどこににゃ!?」
ナリア(不安そうに)
「錆びた剣を手に、この事件の黒幕を倒すって……どこかへ行ってしまったの」
ミャーリ「っ……!」
死神ちゃん(耳をぴょこっと動かしながら)
「ん〜〜探してあげるぅ〜! ついでに〜犯人〜ぶっとばすよぉ〜♡」
(鼻をくんくんさせながら)
死神ちゃん「……あっちから〜する〜」
ビューーーン!!
一陣の風が吹き、死神ちゃんの姿は風のように消えていった。
その先――
黒く揺らめく、大きな影が立ちふさがる。
死神ちゃん(鎌を構えながら)
「やっぱ〜ここ〜ビンゴ〜♡」
――つづく
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