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鎌振り

瓦礫の上から、死神ちゃんがこちらを見下ろす。


「……あぁ〜……後ろのドアも開けられないように〜」


ズガァーーーン!!


巨大な瓦礫を片手で放り投げ、ドアを塞いだ!


「……あんたさぁ〜……酔ってるっしょ〜? 早く治してもらってぇ〜……リュミナ様に〜」


アーシア、困ったように微笑む。


「私はリュミナ様じゃないですけど……でも……」


そして、ルイフェルの顔を覗き込む。


「やっぱり、酔ってたんですね?」


観念したように、ルイフェルが小声で……


「……はぃ、すぃません……」


アーシアがそっとルイフェルの体に手を添え、優しい癒しの光が彼女を包む。


「復活ー!!」


ルイフェルが勢いよく立ち上がる。


ノームとアーシアがジトッと見つめてくる。


「もー、なんで言わないかなぁ……」

「姫様はそういうとこ、変に意地っ張りと申しますか……」


コソコソと話すふたり。


ルイフェル「……ウッ、も、もういいだろう……」


ちょっとスネたような表情を見せた。


「これでぇ〜……こころぉ〜おきなく行けるヨォ〜」


死神ちゃんの青い瞳がふわりと光った。


「お、おいっ!」とルイフェルが叫ぶ前に――


「そこ〜まかせたぁー!」


ふわり、と瓦礫から飛び降りる死神ちゃん。


そのまま死者の群れの中へ!


ギィイイイィンーーーー!!


鎌を振るたび、響き渡る高音。


魂が斬り離された死者たちが、次々に崩れ落ちる――


「とりあえず〜かたずけぇ〜まぁ〜すかぁ〜……♡」


死神ちゃんはスカートをふわっと揺らしながら、舞うように通路を進む。


その姿はまるで死のバレリーナ。


ギィイイイィンーーーッ!!


ズバッアーーンーーーッ!!


狭い車両内を舞いながら、ひと振りごとに死者が沈んでいく。



ついに先頭車両に到達した死神ちゃん。


ドアを静かに開けると――


座席はなく、異様に変異した6体の死者たちがグネグネと蠢いていた。


その首は、まるで鞭のように伸び、獲物を狙っていた。


バッ! ビシュゥゥッ!!


鞭のような頭が一斉に襲いかかる!


だが――


死神ちゃんは、まるで風に乗る羽のようにひらりと舞い、すべてを交わした。


「……おぉ〜……動きは速いのに〜……当たらな〜い……♡」

「……そんなんじゃ〜……リュミナさまのそばには〜……行かせないよぉ……♡」


その旋回する動きは、読まれたかのように鞭の軌道を避ける。



奥に立つ、ひときわ異様な男。


黒い死装束のような衣をまとい、顔は深いフードで隠れている。チラリと覗く赤い目。


身長190cm、異様なほど脚が長い。


悪魔グライモア=ネクロヴァイン


「……ほぉ……」


「私が“特別に調整”した死者の連携攻撃を……あの距離で交わすか」


「……ただの召喚獣ではないな……君は――」



死神ちゃんの視線がグライモアに移る。


(……ふぅ〜ん……なんか〜……足なっが〜い……)


(黒くてヒラヒラしてる服ぅ〜……マント? コート?)


(顔……見えない〜……でも、赤い目がチラチラ〜)


ペロっと舌を出し、肩に鎌を乗せて呟く。


「鞭のおばけ〜斬ったら〜あそんだげるぅ〜……♡」



その態度に、グライモアの身体がピクリと強張る。


赤い目がギラリと光り、重たい空気が車両内を支配した。


「私はグライモア! 死者を操る者!」


「――鞭のスピードを、上げろ!!」


ビシュゥゥ!! ビシュシュシュゥ!!


6体の鞭頭が一斉に襲いかかるが――


シャパァーーーン!!


死神ちゃんの鎌が唸る――


ギィイイイィン!! ギィイイイィン!!


鞭のような死者たちが、一瞬で崩れ落ちる。


「はーぃ。終わり〜♡」


そして、にぃっと笑って――


「次、あんたぁ〜だよ……ダルいけどねぇ〜……♡」



つづく

【外部サイトにも掲載中!】


イラストはこちら(Pixiv)


https://www.pixiv.net/artworks/132898854


アルファポリスにて画像付きで作品を公開しています。

ご興味ある方はぜひこちらもどうぞ!


▼アルファポリス版はこちら

https://www.alphapolis.co.jp/novel/731651129/267980191


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